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バジュランギおじさんと、小さな迷子のYNのレビュー・感想・評価

3.6
変な感想だが、観終わっての第一印象は「パッドマンよりこの映画の方が手法として正しいな」だった。

比較する必要は全くないのだけど、「差別や偏見とそれに対する変化を描いたインド映画」という点では共通する部分がある。
そして「パッドマン」の描き方にはわりと不満があった。
それゆえに冒頭のような感想になった。

つまり、「変化する側」を主人公に据えた方が良い、という意味。
パッドマンは最初から正しい(変化しない)価値観を持った主人公が周りの偏見を正したり正さなかったりして、特に奥さんや地元の人は価値観は変わらないまま権威におもねって終わるのでひどくもやっとした。
本作では主人公パワン自身が、国や宗教の違いによる偏見を、個人に触れることで無くしていく。
とてもわかりやすくて、ウェルメイドで気持ちがいい作品だ。

ただ、パワン同様この映画、あまりに真面目で実直すぎて、それ以上の感想がない。
画面に映し出されること以上にこちらに訴えてくるものがない。
お涙頂戴の展開もややクサく…もちろん良かったね、とかは思うのだけど。

とはいえ、現実に印パ問題はあるわけで、その解決への祈りそのものだと思えば、これでいいのかもしれない。
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