ヒデ

天使のくれた時間のヒデのレビュー・感想・評価

天使のくれた時間(2000年製作の映画)
4.2
「これから起きることはあんたが招いたことだ。メリー・クリスマス」

13年前に空港で恋人と別れたエリート金融マンが、陽気な黒人に時空を飛ばされ、別れた彼女と結婚した世界線をやり直す話。

めちゃくちゃ良い作品。ウォール街で全てを手にした男が、突然タイヤ売りになって子供2人を保育園に送り始める。オムツの替え方がわからなくて娘に「本当のパパじゃないでしょ?」と看破されるシーンは笑った。

異世界成り上がり系の作品が多い昨今、時空を飛ばされて、貧しい人生を生きる設定は逆に斬新に見えた。しかしそこには「愛する人と家族を持つ幸せは何にも代えられない」という明確なテーマがあって、イケすかない社長だったニコラス・ケイジがそれをどんどん学んでいくのがとても良い。「きらめきは一瞬だ」的なことを連呼する黒人もいいキャラ。タイトルの「天使」ってあいつのことなんだろうか。

家族持つって素晴らしいことだなと改めて思うし、ケイトがめちゃくちゃいい妻なのもグッとくる。欲がなく、「今でもう十分恵まれてるわ」と小さな幸せを大事にする。可愛くて芯のある母で、愛する子供たちとこんな人生を送れたら幸せだろうなと確かに思った。「私はこの(ボロくて小さい)家で人生を送りたかった。私たちが老いても、いつか孫が遊びにくるの」という素朴で幸せな未来を語るシーンは少し泣ける。

『素晴らしき哉、人生!』とどことなく雰囲気が似てるなと思ってたら、監督がそれをモチーフにしてたと知ってなるほどという感じだった。

最後の空港のシーンは感動したし、コーヒーを二人で飲むエンドロールは最高に美しい。


以下、セリフメモ。


「行かないで。嫌な予感がするの」

「君はロースクールで学び、僕はバークレー銀行で研修。すごい計画じゃないか」

「全部白紙に戻して、今この瞬間から二人の生活を始めましょ?最初は手探りでもきっとなんとかなるわ」

「二人が一緒にいて、初めて幸せになれるの」

「昔の女から連絡があったら、会長ならどうしますか?」

「昔の女は納税申告書と同じ。3年過ぎたら廃棄したまえ」

「この宝くじは当たり券だぞ!ぶっ殺してやる!」

「これはビジネスだ。君のその当たり券を私が200ドルで買おう」

「これから起きることはあんたが招いたことだ。メリー・クリスマス」

(自分の会社の受付で)
「フランク。ジャックだよ。ここの社長まだ」
「どなたか知りませんがドアは閉まってます」

「困惑してるようだな、ジャック。説明するよ。あんたは"(自分の人生には)全部ある"と言ったよな」

「あの(換金所での)仲裁は見事だった。天国でも上のレベルだよ。俺は君に"きらめき"を見たんだ」

「いいか?僕は元の生活に戻りたい!どうしたら戻れるんだ!」

「赤ん坊が泣いてるぞ」
「…それで?とぼけないで、火曜日は当番でしょ。保育園に遅刻しないでね」

「パパじゃないでしょ?本当のパパはどこ?」

「私と弟を誘拐して、頭に機械を移植しないでね。地球にようこそ」

「どうしたの?13年ぶりに会ったみたいな目をして」

「君こそ絶望してないのか?僕は今の何千倍も稼ぐ男になれた!」

「君が結婚したのは別の男だ!」
「そうね、私が結婚したジャックは2400ドルのスーツを買うほど見栄っ張りじゃなかった」

「月並みな人生だよ。君ならなんて言う?」
「偉大なる成功物語」

「今夜イブリンに会った。僕と浮気したいと」

「ケイトを裏切るのか?俺の忠告を聞け。ちょっとした火遊びはかまわんが、これは危険な状況だ」

「あれを言って。私の好きな言葉…」
「ああ、君のせいでビンビンだ」
「え?」

「忘れたの?結婚記念日を忘れたのね」

(レストランでダンスを踊りながら)
「本当にタイヤの販売員?」
「見直した?」

「全てが手に入る人生には憧れるわ。でもあなたと結婚しなかったら、私にとって確かなものがなくなるの。あなたに子供たちよ」

「学生の頃からずっと君を愛してる」
「…それを聞きたかったの」

(自分が元々いたオフィスで)
「何が何でも働きたい。最初は駐車係から始めたっていい。僕は人を知る前に己を知ってる。僕はこの仕事ができる。僕にチャンスを。期待に添います」

「なぜわからない?人も羨む人生を歩めるのに!」
「ジャック…もう十分恵まれてるわ」

「でももしあなたが転職を選ぶなら、この家を捨ててあなたについていくわ。あなたを愛してる。住所よりずっと大切なことだもの。あなたを選ぶわ」

「本物のパパだ」

「僕を戻すのか?絶対にイヤだ。君に人の人生を弄ぶ権利はない!」
「"きらめき"は一瞬だ。永久には続かない」

「元気でな、アニー。僕は宇宙船に戻る」

(別れ際に妻に)
「僕を忘れないでくれ。この一瞬、僕がどんなだったかを」

「何事?」
「オフィスをパリに移転するの!」

「はい、あなたの私物よ」
「結婚してたらって、考えたことは?」

「ケイト!その飛行機に乗るな!コーヒーを飲もう。それだけでいい。パリ行きはまだあるさ」

「ニュージャージーに家が!子供はアニーとジョシュ。アニーはバイオリンを習ってる。ませてるけどそれは頭のいい証拠だ。笑うと…ジョシュの目は君にそっくりだ。まだ話さないけど絶対に利口だ。目をぱっちり開けじっと見てる」

「僕らは愛し合ってる。結婚13年なのにまだアツアツだ。合言葉は"愛してる"」

「みんな夢かもしれない。12月の孤独な夜が生んだ幻想なのかも。でも僕には現実に思えたんだ。今君が去ったら、永久に消えるだろう」

「これで別れても僕らはやってける。でもあの素晴らしい二人の生活を、僕は選びたい。お願いだ。コーヒーを飲もう。パリは逃げないよ。行かないでくれ、今夜は」
「…いいわ、ジャック」
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