このレビューはネタバレを含みます
「天国じゃ、みんな海の話をするんだぜ」
余命少ない二人が海を目指すロードムービー。
ようやく辿り着いた海で、マーチンが事切れるラストは切ない。笑って泣ける映画とはこのこと。
死期が近い二人に芽生えた友情、盗んだお金を取り返そうと必死に追いかけてくるギャング、そしてドイツからオランダにまで至る大冒険。88分しかない映画なのにエンタメ要素がてんこ盛り。
主人公のマーチンとルディは、時にベンツを盗み、救急車を強奪し、銀行強盗をして海を目指す。やってること自体はしっかり犯罪なんだけど、「人生でまだ海を見たことがないので見てみたい」というピュアな理由があるので応援できるし、奪ったお金もちょくちょく返したり配ったりするので好きになれる。追っかけてくるギャングの下っ端二人もちょくちょく笑わせてくれて、とても良い味を出していた。移民系のギャングのアホさが好き。
マーチンが狂言で倒れて救急車でニカってするくだり、個人的に好きだったな。ママに贈ったキャデラックはどうか乗ってもらえますように。
以下、セリフメモ。
「頭にテニスボール大の腫瘍があって、脳を圧迫してる。運が良くて数日の命だ」
「僕はガンだ。骨肉腫」
「天国の門を叩いてる俺たちが酒に浸ってる」
「海を見たことがない?一度も?」
「すみません、出口はどっちですか?」
「左だよ。…あいつらが乗ってたの、俺たちと同じ車だったな」
「車から離れるなって言わなかったか?車を取り戻し、二人のバカを連れて来い!」
「ママにキャデラックを贈りたい。プレスリーのと同じやつ。大ファンなんだ」
「"女二人とヤる"…?こんなのが最期の望みでいいのか?」
「"寝る"だ。間違えるな」
「死にかけてんだぞ!天国で捕まえるつもりか!?早く救急車を呼べ!」
「今まで生きてきて最高のセックスだった」
(銃を突きつけて)「これで最期さ」
「金をどこにやった?殺すぞ」
「いいよ。俺は脳腫瘍だ」
「僕は骨肉腫で末期癌」
「ルディ、話があるんだ」
「分かってる。僕が言うよ。(死ぬことは)何も怖くないさ」