EnzoUkai

ブルークリスマスのEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

ブルークリスマス(1978年製作の映画)
4.9
キハチストだから岡本喜八監督の作品は無条件に4.9になります。
(5.0は黒澤天皇だけです)

『ブルークリスマス』で初めてFilmarksに岡本作品のレビューを書くことになるとは思いませんでしたが、ソフトもあるのかよく分からない作品で丁度WOWOWに上がってるのが良いタイミングの様な気がしたので一筆残したいと思います。
U-NEXTにはあるみたいですね。

本作は岡本作品の中では後期作品群との一本手前の位置付け、簡単に言うならこの作品で一つの時代がピリオド打たれたと思ってます。
丁度この頃、岡本監督は便利な監督として声が掛かっていた時期でもあり、この作品は東宝の監督としてキチンと仕事を果たした作品だと思っているからです。
これ以後、監督は再び作家性を取り戻してまた名作を撮っていきます。

さて、この作品、非常にスケールの大きなSF大作です。
と言うのは建前でしょう。スケールの大きなSF大作で撮りたかったのは脚本の倉本聰だけで、現実問題東宝が監督に指定したのは岡本喜八。
そう、コスパの男なのです!
ただ、倉本聰のオリジナル原作は素晴らしく、どの時代でもリメイク可能なクオリティです。ネタバレしたくないのでここでは言及しませんが、今の若者が見ても十分に胸に来るものがあると思います。
世界を股にかける撮影を喜八はゲリラ撮影でやり遂げております。恐らく本編と海外ロケシーンの画質の違いを見ると16ミリの手持ちカメラでやってますね。
さすがの喜八です。

ここで敢えて言うことじゃないかもしれませんが、喜八監督は影響力のある人です。
この『ブルークリスマス』を見て『シンゴジラ』を見てください。あれ?って思われることでしょう。

今回、WOWOWに上がってるバージョンは恐らくHDリマスターで、あまり見られてこなかった画質です。
正直言ってかなり良い画質です。
今までのものがかなり酷かったから、これは感動ものだと涙を湛えながら見てました。
今までのソフトは海外ロケシーンの画質は堪えられなく悪かったですからね。

とにかく、様々な名作を残している岡本喜八作品、一本でも見られる環境にいらっしゃるならば、騙されたと思って見てみて下さい!
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