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友だちのうちはどこ?のMillerのレビュー・感想・評価

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
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物語は小学校での子供たちと教師の様子から始まる。
宿題の提出に関して子供たちに厳しく指導する教師。
子供たちは、教師との約束を3回破ったのならば退学をさせられてしまう。
指導されていた生徒モハマッドは主人公アハマッドの友だちで、教師からの指導に泣き出してしまっている。
学校が終わり、アハマッドが帰宅すると、自分のカバンの中にモハマッドのノートが入っている事に気が付く。
モハマッドは今日も宿題のことで指導されたばかりなのに、このノートが無ければ宿題をすることが出来ず、明日も先生に怒られてしまう。
どうにかノートをモハマッドに渡さなくてはと、アハマッドは隣の村のモハマッドのもとまで小さな冒険の旅に出る。


アハマッドが隣村に行くが友だちのうちの場所を知らず、モハマッドのうちには中々たどり着けない。
村人の断片的な情報をもとに、村中を駆け巡り、モハマッドの父親が自分の村へ行ったと聞けば、自分の村まで走って戻り、ジグザグ坂を走ってまた隣村へ。

子供の真っすぐな気持ちがそのまま一直線な行動に結びついている様が、健気で愛らしくとても温かい気持ちになる。


アハマッドの言葉を大人たちは聞かない。
「友達のノートを届けなければいけないんだ」というアハマッドに対して、母親は「宿題をやりなさい」としか答えない。
アハマッドの祖父は、子供のころに自分が受けてきたしつけに固執して、子供を拳でしつけることが良いことだと友人に話している。
アハマッドの身長の高さに合わせた画角だと、大人たちの顔は映らず、言葉は大人には届かない。

アハマッドの話を聞いてくれる親切なお爺さんが登場するが、結局見当違いな案内になってしまう。
そのお爺さんは、急ぐアハマッドに対して動きが緩慢だ。

アハマッドは親切なおじいさんに手伝って貰ったりしながらも、結局モハマッドのうちを発見できず、ノートを届ける事は出来なかった。
アハマッドは別の方法を考えつき、翌朝を迎える。
子供の頑張りにはなまるを付けて上げるようなささやかだけど優しい終わり方が、この作品にとても合っていて良かった。

枯草に隠れてしまうようなお爺さんや、町中を闊歩する牛。
アハマッドが駆け抜ける村の人々や様子もとても魅力的。
冒頭モハマッドが、がっつりカメラ目線になっているのも微笑ましい。
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