🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-030 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋ドン・シーゲル初期の最高傑作で幻の傑作と云われる作品、youtube で感情表現できたので、久しぶりに再鑑賞。本作、プロダクションコードが変わり、実在の犯罪者を脚色して映像化できるようになったため映画化された作品のようです。そう、本作の主人公ネルソンは1930年代に実在したんですね。

🖋シーゲルの作品『ダーディハリー』などと違ってオープニングから走り続けるのではなく、序盤は主人公が、仮出所で“もう犯罪は起こさない”というスタンスで静かに始まります。でもギャングに罠に嵌められてからは、もう圧倒的破壊力の全力疾走に物語は豹変！！容赦ない悪人ぶりで、すぐに銃撃、皆殺しにしていきます。もうその疾走感がハンパなくこれぞギャング映画という作品ですね！！

🖋主演は小柄で一見柔和なミッキー・ルーニー。そしてそのミッキー・ルーニーの情け容赦ない悪人ぶりがもう圧巻です。キャロリン・ジョーンズ演じる彼女への異常な嫉妬心の表現もお見事です！！

🖋そしてラスト20分のフルスピード。クライマックスのチェイス、そして死への道の絶叫、素晴らしくシュールなラストシーンです。

😨Story:（参考: yahoo movies ）
※※※

🔸Database🔸
・邦題 :『殺し屋ネルソン』
・原題 :『Baby Face Nelson』
・製作国 : アメリカ
・初公開 : 1957
・日本公開 : 劇場未公開
・上映時間 : 85分
・受賞 : ※※※
・監督 : ドン・シーゲル
・脚本 : アーヴィング・シュルマン、ダニエル・メインウォーリング
・原作 : ※※※
・撮影 : ハル・モーア
・音楽 : エイブ・アレクサンダー
・出演 : ミッキー・ルーニー、キャロリン・ジョーンズ、サー・セドリック・ハードウィック

🔸Overview （参考:Movie Walker）🔸
「暴力の季節」の監督、記録映画出身のドン・シーゲルが実在ギャング・ベビー・フェイス・ネルソンの実録にもとづいて作り上げた犯罪映画。アーヴィング・シュルマンとダニエル・メイウォーリングの脚本。撮影はハル・モーア、音楽エイブ・アレクサンダー。「戦塵」のミッキー・ルーニーが柄を生かしてネルソンを演じ、相手役は「七年目の浮気」のキャロリーン・ジョーンズ。他に「十戒(1957)」のサー・セドリック・ハードウィック、「現金に体を張れ」のＴ・デコーシア等が助演している。製作アル・ジンバリスト。

この映画が好きだ。

乾ききった暴力性、ミッキー・ルーニーの異形が死臭を撒き散らす。

もはや被写体としても機能し得ないだろう人々の活劇を若々しいシーゲルが残らず晒してしまう、画面に付き纏う老若の不均衡が観客の禁忌を掻き乱し、最期の最期に決定的瞬間をオフスクリーンで処理してしまう簡潔さによって映画そのものが脆弱に崩れ落ちる。

画面外に響く二発の銃声によって男女は永遠に結ばれたのか、或いは二発ともが男の身体に撃ち込まれたのか。

残酷なまでに全てを捉えてきたカメラが最期に被写体をずらしてしまう暴力的な偏向によって結末が不透明なまま映画は終わり、未だサスペンスだけが例の墓石にのしかかる。

しかし蓮實重彦の捏造的だが特権的な体験を我々も味わうというのは彼の著作を読んでいる/彼の影響下で観ているという時点で矛盾していて、自分の眼で評価するとこのくらいかなと。