幽斎

呪われた川の幽斎のレビュー・感想・評価

呪われた川(2021年製作の映画)
3.8
C級スリラーをレビューする、Scavenger第60界。「River of Fear」英語圏向けのタイトルで原題は「Upurga」ウプルガ、登場する村の名前。AmazonPrimeで0円鑑賞。

珍しいラトビア映画、しかもミステリーと言う駅近、最上階、南向き、角部屋のタワマン並みの希少性。ラトビア映画はレビュー済「デビルズ・ソナタ」清廉な雰囲気の佳作スリラーも有るが、本作は2021年に製作されたTVムービー。Ugis Olte監督は既に「北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ」日本上陸。私は未見だがアマプラ謎映画仲間に依れば、ライバッハと言うバンドが北朝鮮に招待され演奏するドキュメンタリー。

Filmarksのあらすじがヤル気ナッシングでアマゾンを転載しただけなので、仕方なく私が補足すると、妹が出演するCMの撮影クルーを川へ案内するガイドのアンドレは、以前に川で人を救えず死なせた。保安官が妙な絡みをして撮影は進まないが、女性達が獣のように豹変してアンドレも全裸で川に沈む怪奇現象が頻発。プロットとしては森に生命が満ちており、謎の毒性を持つ植物が咲いて人間に幻覚作用を齎してる。

ラトビアの本には神話が数多く出典するが、本作も森と共存する村人は都会人には理解不能な点も有るが、ソレこそが「共存」だと。川には魔物が住んでおり、人間を絶えず引き込もうとする。民間伝承的な世界観が、結果的に謎を解くミステリーに為ったのだろう。秀逸なのはスカベンジャーにも関わらず映像のクオリティはテレビムービーとは思えない、映画先進国のアメリカの地下映画は大いに見習って欲しい。ホラーを期待するとクソ映画認定だろうが、ロシア系がミステリーを創るとコウ成ると言う典型例。演出も含めロシア映画が好きな私は、かなり大甘の3.8。ネタバレでは考察も披露したい。

当然だが出演する俳優は誰も知らない。しかし、本作は単に「キャビン・フィーバー」的な「都会の若者が田舎で酷い目に遭う」系のテンプレに留まらず、俳優達の体当たり演技のパワーレベルも半端無く、特に身体の張りっプリ+脱ぎっプリも本気モード。プロットである川は決して京都の鴨川の様に綺麗では無いが、ラトビアなので寒いにも関わらず、川に浸かるシーンも多く、ソレは女優達も例外では無い。オッパイも有るよ(笑)。

Latvian National Film Festival最優秀賞ノミネート作品。私の解釈は本の世界で言うMerry Bad End。スカベンジャーと小馬鹿にせず、真剣に考えるだけの価値は有る。

全〇で一心不乱にバイオリンを弾くシーンは別な意味で圧巻なので、暇潰しに為るかも。

【ネタバレ】物語の核心に触れる考察へ移ります。自己責任でご覧下さい【閲覧注意!】

スカベンジャーでは珍しい本気の考察(笑)。他の方のレビューを見てもお手上げの様だが、ポイントはアンドレは何時からオカシク為ったか?。ソレは森で謎のドリンクを飲み干した時。彼はSDカードの映像を確認したが時折フラッシュバックなシーンが有る。つまり、エンドロール前の無事に救出されたエヴァの映像は「本物」。アンドレが見ていた映像が「幻覚」。保安官がアンドレに見せた映像もミスリードで、単に保護されたと解釈。川の魔物は村に留まる様に誘い、アンドレも妹の待つ街では無く、村で妹を探す兄を演じる道を選んだ。街の暮らしを捨てる意味で、元凶である川に真実を知るSDカードを投げ捨てた。彼の「首」にも注目。ロシア系のミステリーなので、センチメンタルに思考を振った方が理解が進む。謎を解く鍵はリアルな「魔女伝説」だった。
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