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雪山の絆のhuaのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.2
1972年10月13日
学生たちを乗せるチャーター便がアンデス山脈に墜落。ウルグアイ空軍機571便遭難事故を描いた作品。
標高3700メートルの極寒の雪山。
食料もない地獄のような状況下でサバイバルを強いられる。

ひたすら飢えと寒さとの闘い。
仲間の遺体を食べてまで生き残るか、
それだけではない。自然はどこまでも容赦無いのだ。
一日ごとに命が削られていく。
極限状態でも、諦めず生きることを考える。

皆20代前半と若くラグビー選手なので体力もあったこともあるが、やはり何としてでも生きたいという気持ちが大きかったと思う。
私なら、早い段階で諦めていただろう。

飛行機の揺れと墜落の描写をここまでリアルに再現したことがあっただろうか。まず冒頭からそこに驚いた。
そして、先の見えない極寒での生活があまりにも重く苦しい。次々に命を落としていく仲間を思い、励まし続ける姿に涙が止まらなかった。

生存者の支えとなるリーダー的存在だったナンドは「安易な楽観主義者が苦難では早く死ぬ」厳しい指摘ではあるが、「現実は私たちの期待通りに動かないことも多く、空想の世界よりも冷徹な現実に合わせる精神を持つ者のほうが、生き残る力を失わずに済むのです。」と言っている。
一見すぐに救助隊が来ると、仲間を鼓舞し励ますのが良策だと考えがちだが、期待値が高いと、それが叶わなかった時の落胆が大き過ぎて精神的に参ってしまうということらしい。

144分、雪山の中でたっぷりと胸が締め付けられ続ける本作、今年のアカデミー賞がチラついて仕方なかった🏆
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