このレビューはネタバレを含みます
ギリシャの海辺の町へバカンスにやって来た1人の女性が、若い母親と幼い娘に目を奪われ、過去に母親としての役目を全うできなかった記憶と悔恨を呼び起こす心情を描く物語。
想像したものとは違ったが、それなりに楽しめた。
何よりもオリヴィア・コールマンの心情を語る表情の演技が相変わらず素晴らしい。
子育ては本当に大変だ。
自分の時間も体力も精神力も全て犠牲(と言っていいのか分からないが)にする。
でもその何倍も何十倍も何百倍もの幸せが舞い込む。
と個人的には思っている。
本作に出てくる娘達は、なかなか手がかかる。
特に回想のレダの長女は、いつでも母親に纏わり付き、あれをやってこうしてと要求が多く、労苦を強いられる。
どんなに鷹揚な母親でも疲れ切ってしまうし、鬱なのでは(そう言ったのはレーナだが)と思うのも理解できる。
子どもは成長するのだから、ある程度まで大きくなれば、楽になると分かっていても、その時は必死なのだ。
そこから逃げ出したくて、浮気に走ったり、挙げ句に子ども達を捨てて自由を手に入れる。
確かに身勝手で、結局は自分のことが一番大事なのだ。
本作の中で、オリヴィア・コールマン演ずるレダは、
母性がなく、2人の娘が耐え難いほど煩わしくて、家を出てしまう。
常に罪悪感に苛まれ苦しみ葛藤するのだが、自業自得としか言いようがない。
まだ罪悪感があるだけましなのだろうか。
しかし、人形を盗んだとなぜ正直に言っちゃったのだろう。
嘘は良くないし、すぐに返すべきなのは当たり前として、嘘も方便、こう言ったらこうなるという予測ができないのか。
この人の行動がさっぱり理解できなかった。
いや、そもそも盗むな。
ビーチでの場所の移動を断ったり、映画館で煩い若者達に激怒したり(これについては共感)、人形を盗んだり、レダの人となりが分かるエピソードで、子育てに苦労したところと繋がっていたのだと思った。
直前に観た『ゴーン・ガール』で結婚したくなくなり、本作で子どもを持ちたくなくなる若い人々が増えませんようにと祈るような気持ちになった。
〈余談〉
オリヴィア・コールマンとジェシー・バックリーがあまりに似ていなくて、回想シーンは誰のことを描いているのかしばし戸惑った。
レダは母親はとても美しい人だったと言っていたので、ジェシー・バックリー綺麗だしなと納得した。
しかし、そのうち子ども達の名前がレダではなかったので、母親がレダなのだと理解。
2人とも素敵な女優さんではあるが、せめてもう少し似ていてほしかった…🥺