EnzoUkai

シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~のEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

4.2
2023年1月の訃報から未だ日が浅い時期に伝説を語るには時期尚早かもしれない。
しかし、この映画の元になったテレビドキュメンタリーの放送は2022年の7月放送。鮎川氏は存命中であり、監督(番組ディレクター)はよもや鮎川氏が病気であることすら知らず、その後も鮎川誠をカメラで追い続けていた。
そして、鮎川誠の死去を挟み、テレビで放送される改訂版がボリュームを増し、今年5月にはTBSドキュメンタリー映画祭では主要都市の映画館で上映される。
私はその全てを見続けてきたが、矢継ぎ早の再編集とボリュームアップ、もうこれは間違いなく監督の執念でしかない。そして、鮎川誠氏と生前親しく付き合ってきた監督の喪の作業でもある。
素晴らしいレクイエムだと拍手したい。

今日から全国劇場公開だと言うことで、是非とも皆さんに劇場で観てもらいたいポイントが、「音!」
テレビ番組から劇場版にするに当たって、新たに著名人達のインタビュー場面などが追加されているが、数多くのライブシーンも一曲一曲が長い尺で収められてる。この音が非常に上手くリマスターされていて、所謂、「鳴り」というものが良い。いかにもライブハウスっぽくて、いかにもギラついたロックぽい。この素晴らしい「鳴り」は是非とも劇場で体験していただきたい。

2015年、シーナ&ロケッツのボーカルであり、鮎川誠最愛の伴侶のシーナは他界する。
シーナの死後の気丈さ。

2022年、鮎川誠自身も膵臓がんに冒される。
死期を悟ってからの毅然さ。

数多くのライブシーンに合間に描き出される男鮎川誠の生き様はあまりにも清々しいロックそのものだ。

是非とも全国の皆さん、劇場に足を運んで体験してもらいたい。
EnzoUkai

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