椎蕈

クリード 過去の逆襲の椎蕈のネタバレレビュー・内容・結末

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

クリード三部作の完結編。
アドニスの物語としては、逃げた過去に今回はしっかりと向き合って決別するから良かったとは思うけど、全体的な完成度は過去2作に大きく劣る気がした。

監督がスタローンからマイケル・B・ジョーダンに変わったから作風が変わるのは仕方ないと思うけど、これまでのロッキー、クリードシリーズみたいに熱さが足りなかったのが残念。
全体的にサッパリとしてて盛り上がれなかった。

トレーニングシーンが醍醐味と言っても過言じゃないはずなのに、そのトレーニングシーンもあっさりしてて、これで終わりかーって思っちゃった。
ドラマに重点を置いてたのは伝わったけど、ボクシング部分をもっと強く描いて欲しかった。
ましてや引退後の初試合なんだから、現役チャンピオンを倒した強敵を倒す為にこれまで以上のトレーニングを積んで欲しかった。
ここがこの作品1番の不満点。

コンランがクリードを認めてたのにまた煽ってたり、冒頭ですぐやられて退場だったり、ドラゴがただのスパーリング相手だったり、暴行受けて試合出場停止したりと、過去のボスキャラの扱いが悪いのも気になった。

それに、現役チャンピオンだったフェリックスが完全に噛ませ犬扱いだったのも可哀想だった。
デイムが刑務所の中で鍛えていたとはいえ、ボクシング初心者なのに現役チャンピオンを倒すのはやりすぎな気がした。
ロッキーもアマチュアからチャンピオンのアポロに判定負けまで粘ってたけど、ボクシングはやってたし。
過去の掘り下げはしっかりしてたけど、ボクサーとしての積み重ねが弱過ぎて説得力がないのが残念だった。

アドニスの母親が亡くなる展開も正直必要あったのかなって思っちゃったし、そういうところを受け継ぐんじゃなくて、ロッキーの熱さを受け継いでほしかった。
1番恐れてたロッキーが故人になる展開がなかったのは安心したし、ロバートや孫たちと一緒に幸せになったんだろうって思えたのは良かった。

アドニスとデイムの過去は納得のいく決別だったし、2人の対比を描きたかったのも伝わったけど、もっとデイム側の悲惨さを描いて欲しかった。
アドニスが家庭を持って、裕福で、めちゃくちゃ充実してるところを描くのに対してデイムは掘り下げが少なかったし、すぐチャンピオンになって裕福になったからあんまり境遇の違いが感じられなかったし、描写不足に感じた。
「同じ立場だったのにどうしてここまで違うんだろうな」って、もっとそういうのが見たかった。

見せたいものは伝わったし、納得できるところもあったけど、作品としてはイマイチ物足りなかった。
前作がロッキーの幕引きとして完璧な内容だっただけに、これがシリーズ最後だと思うと少し残念。
過去キャラの登場や過去との決別、クリードの引退と、完結編要素は詰め込まれてたのにそれを活かしきれてないように感じた。
椎蕈

椎蕈