あらなみ

大河への道のあらなみのネタバレレビュー・内容・結末

大河への道(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

千葉県と香取市が頑張って伊能忠敬を大河ドラマにしよう!!!! ってなる中で、脚本家の加藤さんに粘りに粘ってお願いし、そのプロットを追っていくっていうお話。

伊能忠敬の死後、弟子達が日本地図(大日本沿海輿地全図)を完成させたことは知ってたけれど、一般的には知られてなかったんだね。

自分も、忠敬が地球の大きさを知りたくて天文学を始めたことを初めて知った。
ロシアが蝦夷に迫るから、日本地図を作らなきゃって考えは、国防として大変だし、それを予見した伊能忠敬はさすが元が商人なだけあるなぁって思う。
先見の明があるのよね。

忠敬の死後から劇中劇が始まり、地図が完成して徳川家斉に披露するところまでが描かれているけれど、すべてを悟って忠敬が履き続けた草履に労いの言葉をかける家斉のセリフに涙が止まらなかったよ😭😭😭😭😭
そっか、工房の親方である伊能忠敬が死んだら、それに賛同してくれる幕府の人がいないから、予算のために死を隠すしかなかったんだ。
しかも、幕府を騙して、大人数で機材持って全国行脚する予算や、当時は高級品の紙やら塗料やらを確保する予算を得たら、そりゃあ打首だよね。
そこまで思い至らなかったわーーーー!!!!!!

途中、伊能忠敬、死んでんじゃね? って何度も探りを入れられてはのらりくらりと交わし続けて時間稼ぎをしてたけれど、本当にそうだったかも、って思えるから本当にハラハラする。

伊能忠敬は恋人めっちゃいっぱいいたって聞いてたけれど、北川景子さんの役所のエイは、史実では忠敬と同じ年に亡くなってるんだね😭😭😭😭😭

中井貴一さんの、高橋景保は、シーボルト事件の高橋景保かーーーー!!!!!!!
今作では忠敬亡き後に、父親の借金をかたに協力する形になったけれど、世界地図がほしくて、伊能忠敬の日本地図のコピーをシーボルトに渡しちゃう高橋景保なら、むしろ、積極的に参加してたんじゃないかなって思う。
大日本沿海輿地全図の完成のたった8年後、国防のために禁じられた日本地図の持ち出しを、親しくなったシーボルトに渡したことで投獄されてそのまま獄死っていうのはあんまりにも皮肉なのよ。

ネタバレになるけれど、加藤さんは伊能忠敬じゃなくて高橋景保を描きたい! って言ってたし、そんな大河はちょっと見てみたいけれど、江戸幕府によって、死体を塩漬け保管されてまで打ち首になった高橋景保が大河の主人公として選ばれるかは謎だし、やっぱり千葉県民としては伊能忠敬にも活躍して欲しいかも笑

千葉県も香取市も撮影とか色々協力したのに、当て馬状態なこのオチ、OK出したの、逆にすごいなーって笑っちゃった。

それにしても、おらが村の偉人を大河にしてほしいです! って自治体がNHKに企画を持ち込んで、脚本家も自分で交渉するものなのかな?
それはそれで、面白い大河がたくさん生まれそうではあるよね。

それにしても、大日本沿海輿地全図は原本は全て消失、その写しも、一部消失、離散してるんだね……。
映画でみんなが大変な思いして描いてるのを見てきたせいで辛さマックスだわぁ。

日本だけじゃなく、世界のどこでも工房作はそうだけれど、親方以外の名前って一番弟子とか、その後、すごいもの作ってる、とかじゃない限りは、本当に名前が残ってないよね。
刀剣の相槌担当者しかり、運慶工房のメンバーしかり、他諸々。
そこもまた、想像が膨らむよなぁ。
あらなみ

あらなみ