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日本沈没ー希望のひとーのしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

日本沈没ー希望のひとー(2021年製作のドラマ)
3.3
半沢直樹以降に目につく大袈裟な演出やおじ様版ラノベのような日曜劇場臭が今回は薄れていて見やすい。
時には搦手も使う主人公というのもなかなか良かったと思う。

まあどんなピンチがあっても結局は天海の正論の通りにやっておけば、気合と根性と誠意で頑張れば何とかなるという展開はやっぱり日曜劇場だけど。

利権と金ばかりを見て、人命軽視で、現実から目を背ける老害のような扱いをされていた石橋蓮司だが、彼の言い分も間違ってはいない。
話をややこしくしないために省略したのだろうと思うが、日本沈没が世界に知られた後でも馴染みの居酒屋は煌々と明かりをつけて幅広いメニューを元の価格で提供し、電気もネットも車も普通に使えている。
でも円や日本株が紙切れになり、輸入は止まり、企業の活動もどんどん停止して行けばこれはおかしいだろう。

結果的に日本が本当に沈没したからいいようなものの(良くないけど)、沈没しなかった時のことも考えなければならないのが政治の難しい部分ではないだろうか。
今回のコロナでも命と経済のバランスの難しさは一般市民の私達でも十分に感じ取れたものだと思う。

さすがに日本全土が沈没するという事態になればバックアッププランなど考えている余裕はないので、沈むか沈まないかどちらかに全てを賭けるしかないが、もうちょっと石橋蓮司や常盤ら経産省がやろうとしていたことも、天海と同じく日本人の命を救うためなんだという事を見せて欲しかったし、天海もそれを実感するシーンを一つ入れて欲しかった。

また今回は田所博士に対する疑念が詐欺かどうかだけであり、その詐欺の疑念さえ取り除けたら彼の仮説は100%的中するので話が単純だったが、実際には専門家が100人いれば100通りの意見があり、どれをもとに政策決定するかも重大な問題となる。
これもまた今回のコロナで私達が思い知った事だろう。

まあそんな複雑で困難なリアルはわざわざドラマでやってもらわなくてもいいわけで、命を懸けて国民を守ってくれる官僚が居て、日本人のこれまでの頑張りが世界にも認められていて、苦しくても頑張っていけばいつか明るい明日が来るんだという話だと素直に見ればいいのだけれど。

豪華キャストは良かったし、時々ホロっと来た。
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