ドント

心霊マスターテープ2 ~念写~のドントのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 2020年~2021年。いいものをみせてもらった……。前作の衝撃のラストからアクロバティックなアイデアで繰り出されたモキュメンタリー風ドラマの「2」。「見ると死ぬ念写写真の実験を撮影した映像」に端を発する恐怖と呪いが、心霊ドキュメンタリースタッフたちを巻き込んでいく。
 制作や業界の先行きで対立するメンバー、失踪していく関係者たち、謎に迫れば迫るほどに濃くなる闇などシリアスさを一定に保ちながら笑いやハチャメチャさも忘れず、殊に『コワすぎ!』によく似た『ヤバすぎ!』チームの参戦は作品が分解するのではとまで感じるブン回しっぷりであったがギリギリ大丈夫であった。
「念写」の「念」とは「思いがこもっている」ということである。「思い」というテーマはつまり前作から引き継がれて、しかもある意味ネガとポジとして、否、作中で言及されるように「ネガもポジも含めて人の思いではないか。それは善悪を越えて限りなく強く尊いものなのではないか」と、前作からずっと高いところへと導かれる。
 一枚の写真から出発し、プロからセミプロ、アマチュアまでてんやわんやで騒ぎになったこの物語がこのように「ちいさなところ」で完結することに限りなく心が動かされた。一から十まで全部が説明された前作と違い「余白」の残る幕引き。全く見事な人間ドラマだったと思う。なお99年とは「ほんとにあった!呪いのビデオ」がはじまり、女の連鎖する呪いの代名詞『リング』が公開された年でもある。
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