ドント

獄門島のドントのレビュー・感想・評価

獄門島(1977年製作のドラマ)
3.5
 1977年。全4話、約3時間。戦地から帰る船の中で死にゆく戦友に「俺が帰らねば三人の妹が殺される」と告げられた金田一が向かった孤島で起きる陰惨な見立て殺人。
 分家の悪女と嫌っている三姉妹になぶられながら事切れる島の「太閤」嘉右衛門のシーンからして、陰惨さや湿り気よりも躁的な熱っぽさが宿っている。そこにひやりと現れる死体、死体、死体のお人形さんのような体温の低さがまた異様。古谷金田一もなんだか気持ち悪い感じでテンションが高く熱湯と水を交互に浴びせられているような感覚に陥る。
 一部のトリックが省略されていたり、金子信雄が出ているのに金子信雄度が低めだったりと多少不満はあるが、他の「獄門島」とはまるで趣の違う空気に呑まれた。不気味というより気持ちが悪い。夏風邪の見せる悪い夢のようなドラマである。
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