2021年。よかった。2016年から通算放送回数200回、累計2000話超、完全オリジナルかつ著作権フリーの怖い話ネットラジオ｢禍話｣を、いわばラジオの放送形態ごと映像化した単発ドラマ。ラジオで語られた怖い話と、それを読み物にする｢リライト｣によって増殖していく怪異、それに巻き込まれる語り手&聞き手を描く。
元の禍話(まがばなし)というラジオ名にふさわしく、驚かせたり怖がらせたりするというよりは｢禍々しいものを見せる｣｢悪いものを見た気分にさせる｣に特化したドラマで、ギャッ！というよりウワァ……とテンションが下がる演出やショットが多く素晴らしい。脚本は45分の長さに比してさすがに詰め込み・複雑すぎる感じは否めないものの、単純な因果を説明してわかりやすく終わらせない近年のホラードラマにはない姿勢が好感触だった。
特に怖い話の再現パートはほぼ文句のつけようがない。役者たちの演技、特殊なお葬式、嫌な物品、照明の凝り方などが絡み合って悪夢ぶりがすごい。お葬式の場面、あそこで全く暗くせず、ごく普通の茶の間の明るさで撮るあたりが実に格別(最悪、の意)。2021年最大級に力の入ったホラー映像作品のひとつかもしれない。続編か連ドラ化希望。
なお私、このネットラジオのファンです。身びいきにはならないように感想を書いております。みんな深夜に観ようぜ！！
