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九尾狐伝1938のsoopenのレビュー・感想・評価

九尾狐伝1938(2023年製作のドラマ)
4.2
いま、イドウンクが熱い!らしい…とCMで語らせたい程、本作の彼は、長髪美形のアヘン漬けのダルそうな神様から、いつもニコニコちょっと抜けてるけど、肝心な時には狐の本性を発揮する、お茶目で強くて優しい九尾狐を、縦横無尽に演じていて、その表情の豊かさに、大いにキャラクターの魅力を感じさせてくれました!

ある契約の為、再び狐の力を取り戻し、現代に舞い戻った九尾狐のヨンが、部下のシンジュと共に、今度は日本統治下の1938年の京城に降り立った。奪衣装の事務所から奪われた、閻魔大王の守護石を取り戻す為に。混沌とした時代、日本軍の横暴に抵抗する朝鮮人レジスタンス…巻き込まれまいとしていたヨンだが、この時代に生きているランや、昔の山神仲間のホンジュに出会い、共に日本軍の妖怪と派手に戦いを繰り広げていく。お宝は誰が奪ったのか?その目的は?そしてこの時代のヨンはアヘン中毒で役に立つのか?

出だしから惹き込まれました!
テンポの良い漫画仕立てのOPに、ヨンとランが事件を解決していく1話完結の外伝のような位置付けなのかな?と思ったらとんでもない、怒涛の展開とアクション、ロマンス、コメディ入り乱れての見せ場がてんこ盛りに、ワクワク感が止まらず、愉快痛快爽快でした。

特にヨンとランのブロマンスが主軸だったので、前作で物足りなく感じた2人の関係が、永遠に続くコンビのように感じさせられて、薄幸だった前作のランに報いる程の幸せがありました。今回のロマンスの主役がランだったこともあり、とにかくランの成長が素晴らしく、愛を自覚してからのランの美しさは際立っていたし、兄への屈折した愛情表現も前作を凌いでいて、生き生きした美しい生き物として、魅力に溢れていました。キムボムも撮影終了直後のインタビューで、自分はランに似ているから特に共感したし、ランと別れるのが悲しい、とランに対する並々ならぬ愛情を吐露するほどの入れ込み方に感動。俳優として、唯一無二と感じられるキャラクターに巡り会える幸せって、そんなに多くはないんだろうなぁ…

今作のヒロインは山神の1人で、キムソヨンが演じるホンジュ。彼女は気性の激しさに加えて、最強の体技を持つ、強い女神で、ヨンに片想い中。あの手この手で、ヨンに体当たりを決行するも撃沈。(歌舞伎のようなメイクで怖いから、ではなく)このホンジュが、すぐに裏切ったりするのに、大事な場面では駆けつけ、助けてくれたり、自分の経営する店の女の子達にはとても優しく、中でも珍島犬のジェユとは、秘書を任せる程の信頼関係を築く、身も心もカッコいい女。そんな彼女とヨン、そしてもう1人の山神のムヨン、彼らの織り成す幼馴染時代からの命懸けの友情が、ハラハラドキドキさせられながらも、大きな見所の一つでした。

最後は妖怪大戦争に人間も巻き込まれて、大変なことになるものの、感動シーン満載で、最終回視聴後の満足度は、ドッペルゲンガーは問題じゃないの?とかいう瑣末な?疑問が吹き飛ぶ位高かったです。日本人役の役者の殆どが日本人ではなくて、日本語が辿々しかったのは、日本人の韓ドラファンの為に、敢えてそうしたのかなと勝手に解釈しました。流暢な日本語でない分、日本人=悪者感が薄れました…薄れていいのかはともかく。
未視聴の方は、一作目からぜひ!
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