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無人島のディーバのsoopenのレビュー・感想・評価

無人島のディーバ(2023年製作のドラマ)
4.0
数々の名言を残したヒロイン圧勝ドラマ。パクウンビンの透明感溢れる存在感に、強さと潔さと正直さと優しさを加えて、節度あるお節介で味付けしたような、パーフェクトな魅力を持つ彼女の名は、ソモクハ。

離島で暮らすモクハは、父のDVに耐え切れず、歌手になる夢を叶える為、同じ環境下にある友人のギホと一緒に、ソウル行きを決意する。しかし計画は上手くいかず、モクハ1人が海へ落ち、無人島へ漂着する。15年の月日が流れ、正の字を書いていた日々も遠く、逞しく生き残った彼女を、ボランティアで島の清掃に来ていた団体が発見。本土での生活が始まるが、既に30を過ぎた彼女には、歌手になる道はない。憧れの歌手、ユンランジュは落ちぶれて昔の輝きはなく…
モクハは天性の粘り強い性格と、無人島で培った困難に立ち向かう力を駆使して、全ての難関に真正面からぶつかっていく。ユンランジュの口パクの裏で、ゴースト歌手として美声を響かせるモクハ。それを見守る新しい家族…

1話目から盛りに盛った、韓ドラあるあるとんでも設定により、無人島で少女が15年もイモと魚と漂流物で生き抜く話にファンタジー感を覚えたものの、その後の芸能界で逞しく生きていく様子、彼女を救った家族との絆、2人の青年とのロマンス、と飽きる事のないヒューマンドラマに、すっかり取り込まれ、泣いたり笑ったり、ホッコリさせられたりしながらの最終回を迎えました。特に2話目と最終回が対になる話で号泣。
子供時代を演じる役者達の渾身の演技に、心を鷲掴みされました。
出会うべくして出会った2人の、過酷な運命は、時を経ても切れないザイルのような絆になっていたんだな…

ただ、これが日本だったら、無人島から生還した日本人を国は放置しておくだろうか?自治体を通じて住居や当面の生活費や、医療費など面倒をみてくれるんじゃないのかなぁ?(見て欲しい)普通に考えると、言葉も覚束ないかも知れず、極度の人間不信で怯えて喋れない気がします。その辺の行政のケアは、この国ではどうなの?と気になった所です。

キャストは言うまでもなく最高で、特にパクウンビンの、子供時代からの違和感のない人格引き継ぎは見事!訛りや擬音や、無人島生活でもブレない心意気には感服しました。歌も上手すぎて、どうして今までアルバムを出さなかったのか不思議です。エンとチェジョンヒョプの兄弟も、それぞれの役を全うする素晴らしい演技で、この家族エピソードにも泣かされました。キムヒョジンは今まで見たことのない、性格の良い落ちぶれた歌手を好演。事務所の代表はいつものあの人、安定のキムジュホンさん。最後に咳して顔色が悪かったのが、何かのフラグではなくて良かったです。
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