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ここに来て抱きしめてのsoopenのレビュー・感想・評価

ここに来て抱きしめて(2018年製作のドラマ)
3.9
チャンギヨン目当てに見始めて、なかなか面白いじゃない?となる人が多いのも納得。終始サスペンスフルなサイコスリラーものでありながらも、儚げで清廉なロマンスが作品全体を覆う、究極の悲哀に寄り添う形で、美しく優しく、見終わる頃には、ヒーリングドラマだったんだなぁとじんわり感動しました。

サイコパスの連続殺人鬼、ユンヒジェが、後継にと固執する息子、ユンナムは頭の良い心優しい少年だったが、常に学校では誰とも仲良くならないようにしていた。父親が友達を作らせないようにしていたからだ。父親の底知れぬ恐ろしさを肌で感じていた息子は、ひとりぼっちには慣れっこだったが、そこへ眩しいまでに美しく快活な少女が転校してくる。あるきっかけから、2人は急速に近付き惹かれ合うが、息子を軟弱にする外敵を滅ぼさねば、と少女キルナグォンの一家殲滅を目論む父。
ユンヒジェの計画は少女の親だけに留まり、ユン家の娘と息子は生き残る。しかし、惹かれ合う2人は、殺人鬼の息子と被害者の娘、という立場になってしまい、泣く泣く別れる羽目になる…そして12年後…

サイコパスの父親を持つユンナムは警察官となり、父親の罪を少しでも償おうと、卵を投げつけられてもじっと耐える日々。ナグォンは女優だった母を目指して自身も女優となり、2人は運命的な再会を果たすが…

という長い前振りですが、本作はサスペンスが本筋ではない、と思っています。
加害者の家族の世間での扱われ方や、対応の仕方、被害者の家族の生き辛さ、偏見、恋愛に対しても世間の壁以上に、自分達の想い合う心が、本当に幸せを呼ぶのか、という何重もの困難を乗り越えられる奇跡を描いた、繊細な作品です。ホジュノの怪演は、視聴者までトラウマになりそうだけれど、こういう悪役がいてこそ善人が光るもの。どこまでも義理の息子達に尽くそうとする、ホジュノの後妻役のソジョンヨンの演技が涙を誘います。チャンギヨンはじっと耐えて涙を流したり、静かに憤ったり、チンギジュの前では、ワンコのような笑顔を見せたり、と、多彩な演技力で魅力爆発。チンギジュは、大変な生い立ちなのに、真っ直ぐな優しい女性に育ったナグォンを好演。ナグォンの兄役には、『流れ星』で大注目された、若かりし頃のユンジョンフンが(顔が細い!)陰のある検事役で登場。子役の3人もとても美しい顔立ちで演技も上手くて、キャストはこれ以上ない配役だと思いました。

欲を言えば、何故そこまでユンヒジェは息子を後継者にしたかったのかがイマイチ分からなかったこと。サイコパスの血を残したかったのか?自分が正しいことを息子に証明したかったのか。サイコパスでソシオパスなのかなぁ。最終回で色々判明しましたが、サイコパスにもいろんなタイプがあるんだなと感じました。

それからもう一つ。
昔の韓ドラは、社会の悪とみなされた人物に、市井の人々が、卵の他にトマトも投げつけていたけれど、最近は卵ばかり…韓国は日本より卵が安いのかも知れないけど(鳥インフルの影響なし?)、もう食べ物を投げつけるのはやめたらどうかと思います!代わりに卓球の球とかにして、後で回収したらいいんじゃないかなぁ…
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