Oto

ケの日のケケケのOtoのレビュー・感想・評価

ケの日のケケケ(2024年製作のドラマ)
3.8
こんなに優しい作品が、熾烈な闘い(コンクール)の上に成り立っているという、いびつな構造に眩暈がするけど、それも込みで好き。

自分はあの生徒会長のような不機嫌なモンスターになってしまっていないか不安になった。実績・成果・規則にとらわれて、それを他人に押し付けていないか、耳が痛くなる作品だった。
「休憩したければ休憩すればいい、頑張りたければ頑張ればいい、みんな好きにすればいい」という当たり前のことをみんな忘れてしまう世界に必要な物語。

かなりフィクションラインが高いけど、當間さんと奥平くんというキャスティングの妙でクリアしているのがすごい。ケケケ!って普通はアニメ的できついけど見てられる。
NHKの力の入れ具合すごいなー。音楽もめちゃめちゃ良い。

尾野真千子さんという無意識の暴力性を感じさせる母親もよい。新しい父も含めて「よかれ」が一番つらくてありがた迷惑ってやつだなぁ。
担任の先生がやりすぎていてリアルさがなかったなぁ…。岡山天音くんは出番少なめだけどさすがだー。

この感覚過敏の解像度はなんなんだ?と思ったら、脚本家ご本人がそうなのと、加藤路瑛という発信されている方がいるらしい。
坂元裕二・生方美久とはまた違って、ファンタジー性を面白がっている作家に思った。

https://www.scenario.co.jp/online/31584/

ケの日をご機嫌に生きていくために、健全さ健康さを振り翳さずに、不健全に不健康に生き延びたい。
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