Oto

いちばんすきな花のOtoのレビュー・感想・評価

いちばんすきな花(2023年製作のドラマ)
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久々にものすごいドラマを目撃してる。。
正確で発見のあるセリフ、極個人的なのに共感できる感情、明確で鋭いテーマ設定、応援したくなる愛おしいキャラ…隙がない完璧な1話。『踊り場にて』で感じた才能が最大化してる。

坂元裕二さんが「マイナスにいる人が、せめてゼロになる作品を書きたい」ということを前に語っていたけど、「誰もにとっての良作」ではなく、「誰かにとっての傑作」を狙っているという点でも、完全に彼の正統後継者。
プラスがほしい人には『VIVANT』や『真夏のシンデレラ』があるけど、明らかに違う層を見据えているし、『カルテット』や『初恋の悪魔』が想起される中でこれをやり切れる時点で、本当に自信があるんだろうな。。

これって自分だけ?って普段感じているような感情が丁寧に描かれていて、グサッと刺されると同時に、どこかで救われている。

特に自分は、椿にしっかり重ねて観てた。。「誰も名前わかんないな…」とか最高に面白いのに、会社という不特定多数に対してはそれが伝わらずに「つまらない」と言われてしまう生きづらさ。いい人にはなれても、大切な人にはなかなかなれない。
それにしても、臼田あさ美、家買った直後に突然出ていくのはあまりにもゲスの極みすぎて、この後「森永くんは結婚には向かなかった」とか言って戻って来かねないから恐ろしい。。それなのに森永にしか怒らない椿もリアル。。

ちょうど最近も、「大人数の飲み会の空虚さ」とか「二人で会うことの意味」について考えていたりしたので、「3人以上は1人の集合体」という信じがたい解像度で言い当てられてしまって脱帽。。
「昔から、2人組をつくるのが苦手だった。昔から、2人組にさせてもらえなかった。昔から、一対一で人と向き合うのがこわかった。昔から、一対一で向き合ってくれる人がいなかった」の言語化の正確さと、伏線としての強度もやばい。
その後の大人に変わる演出とかも含めて、CM的なセンスがすごくあると感じるんだけど、広告への関心とかある作家なのかな。

・4人の中に自分が見つかる構造になっていて、紅葉みたいな人も夜々みたいな人も身近にいる。でも一方で、ゆくえが関係性を築けない背景はほとんど描かれていなくて、「桐島」のような物語を進めるコマとして置かれている印象が今のところ強い。『silent』は中弛みがあったので、失速しないことを期待。
・玄関前で4人が集うシーンのすれ違いコント、ちょっと『街の上で』のようなウィットを感じた。
・太賀だけ『コントが始まる。』やってる?カラオケ爆笑した。ボケもツッコミもできる喜劇俳優。。

ep3
春木への共感。「いい人か個性的な人か」という命題。
一緒にいると自分の感情を殺すことになってしまうのもわかる。。優しい人の宿命として、自分を我慢してしまう。
知らない人に吐き出して発散するのはやったことないけど、2度と会わない占い師みたいな人に相談したくなる気持ちはすごくわかる。

LINEの友達交換がどこだかわからないの、人間観察の解像度高すぎ。
4人が惹かれあっていく過程も丁寧で、たしかに自分もこれくらいの時間を要するだろうなという納得感がある。

「今日だけ愛でるね」というセリフと、モチーフ選びが最強。やっぱりこの方はコピー&アート的な思考がすごくあるように思う。
すみれはもっと悪女としての展開を作れるようにも感じるけど意外とあっさりとしていた。でもこうやって傷つけることで自己肯定感を保つ人は本当にいる。

ep4

ep5
きのこ帝国じゃん。「4人で来よう」とか言っちゃうよね…こうやってチャンスを逃してきた。ぼくも赤のマグカップえらぶ。

同級生画家との再会あまりに辛いな…。嫁と明らかに上手くいってない太賀も辛いな…。

ep6
友達しかいないのに修羅場。
自分も誰とでも仲良くできる人への満たされなさを感じる。

好きだった人は幸せになってほしい、好きな人は私と幸せになってほしい。すごいセリフ。

疑似家族はいつか終わりが来るけど、思ったよりも早い。
自分じゃなくてもいいのかも?が椿のエントリーのきっかけか。場がなくなっても関係が継続するか?

ep7
名台詞連発だー。。
「どっちが間違い?」
「答え合わせって間違い探し」
「3人とも同じかな。同じくらい、みんな、同じように好き」
「私じゃ補えない栄養」

普段ボケない奴がボケた時のリアクションとかリアルすぎて。
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