初回から面白くて惹き込まれました。いつも明るく、家族の為にはなんでもしてあげたい、完璧な良妻賢母のヒロインと、父権を振りかざすものの器の小さい、自分の母親には従うしかない夫、その上に君臨する、我儘が過ぎて子供にしか見えない夫の母、そして自分のことしか考えられない子供達…
一見ステレオタイプの家庭に見えるものの、ヒロインの肝移植、という大事件を迎えて少しずつ変わっていく。この物語は、どこにでもある、家庭内の甘えや依存から成長して、それぞれの心が独立していく家族と、自分の本当の価値に気付き、限りある命でやりたいことを実行していくヒロイン、チャジョンスクの成長物語を描いた、ちょっとほろ苦いハートウォーミングな話です。
チャジョンスクの夫、ソイノはプライドは高いものの、女に対しては煮え切らない男。長年連れ添ってきた妻との間に子供が2人もいながら、学生時代からの恋人とも不倫を続けている。尽くそうとする妻に対してのスレギな対応は、妻への愛情をカケラも感じない人非人。人間として軽蔑されてもおかしくない領域。肝移植のドナー問題で揉める家族、帰宅後も労りを感じさせてもらえない家族に、さすがに怒るジョンスク。私はあなた達の家政婦じゃない‼︎（言ってないけど）
親友や、主治医の言葉で、本当にやりたかったこと、家庭に入る為に中断していた夢、医者になるんだ！と気付いてからの行動は早かった。レジデント一年目を夫と息子のいる病院で始めるジョンスク。毎日は波瀾万丈で…
オムジョンファさん、彼女は数年前に甲状腺がんを患い、一時期は声も出なくて、歌手として大変苦労したというインタビュー記事を読み、あぁ、だから病人の演技に説得力があるし、尚更命のありがたみ、有限な時間を大切に過ごそう、という気持ちは自分自身の思いからもきているのだろうな、と思いました。苦労を苦労と思わず、いつも一生懸命に自分の体は二の次で、家族に尽くしてきたジョンスクが、今度は医者として患者を救いたい！という強い信念の元、へこたれたり、息子にヘルプしたりしながらも、奮闘する姿に2番手のイケメンが惚れてしまうのも納得。
スレギ夫役のキムビョンチョルさん、彼は子供のような母親に甘やかされて育てられたボンボン役なので、肝心な時に決断が出来ない、人生常に迷子で、船の舵を取らされているけど、影で女達に支配されてユラユラしていたら、とんでもないことになっていた！というソイノ役を、スレギでありながらも、どこか憎めない、コミカルさを印象深く演じていました。人間として皮を2、3枚脱皮してからの彼は、本当に成長したな、このドラマ一の成長具合だなと感心した程です。
他にも息子役のソンジホ、ソンジホの先輩レジデント役のチョアラム、この2人の関係も、性格がまるで違う2人がケンカしながらも恋愛関係の危うさを保っていく様子が、リアルで微笑ましくもあり、癒されました。
あとは、なんといってもロイキム先生！役者はミンウヒョクさん。お初ですが、スレギ夫の対抗馬なので、もう性格含めてイケメン風ビュービュー吹き荒れていました。彼は彼で、秘密を抱えて迷っていたのを、ジョンスクに救われ、前に進むことができたし、全てのキャラクターが少なからず成長できたという稀有な作品だと思います。現実はそんなに甘くはないだろうから。もうラストは納得の爽快感しか残りませんでした！
これでいいんだ、みんなこれで…
久し振りに、元気をもらえるドラマに出会った気がします。
