Oto

月食の夜はのOtoのレビュー・感想・評価

月食の夜は(2023年製作のドラマ)
3.2
星好きの少年とヤングケアラー少女の交流。
創作ドラマ大賞とヤンシナ大賞がまさかの同じテーマだけど、『瑠璃も玻璃も…』の方が好きだった。

宇宙科学を自分も志していたから共感するところは多いけど、少年が主人公として弱いと感じる。進学校行って選択肢広げるという未来志向の自己実現が正解なのか?という葛藤が弱い。
むしろ状態の悪い母の世話に追われる少女の葛藤の方が強くて、物語のバランスが悪く感じた。

ヤンシナ大賞は主人公がヤングケアラーだったけど、その方が話がスムーズだし、もし今のままやるにしても、星というモチーフとケアラーというテーマの距離が遠すぎて、二人のキャラクターが独立してるように感じる。
臨床心理士目指してるとかならまだしも、どう頑張っても彼女に対して外側からおせっかいするのが限界だし、結果的にクライマックスが「月食が見えなかった」という外発的な要因でなんとなく解決したように見せてるという、全然納得できない終わり方だった。

シナリオから変わっているのかもしれないけど、そこで終わり?みたいな印象で、12年後を変えるような何かが起こってないし、特に母親の問題が何も解決に向かっていない。
次も一緒にいたい=ずっとそばで力になるよ、ということだとしても、それは少年の夢に対する障害になってしまうし、全然前向きなことに思えない…。

他にも、YouTube観たり実況聴いたりっていうのが全然生きてないのも気になった。あのYouTuberとの関係性が何もないし、クライマックスも実況聴かせるよりも、自分で解説すればいいのにって思う。

役者二人は原石という感じで良かった。それぞれ、北村匠海似、山崎紘菜似。全然可もなく不可もなくない、明らかに輝いてる。
天体観測とか青春描写はベタだし、「進路希望表」ドラマにおいて登場しすぎ問題あるけど、ケアラーの描写は全体的にリアリティがあって良かったし、応援できた。ビールとか後ろからのハグとか。
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