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シュルプのsoopenのレビュー・感想・評価

シュルプ(2022年製作のドラマ)
4.5
シュルプ=傘、というタイトルが、とても象徴的で、このドラマの根幹を一言で表現していて素晴らしいし、脚本も完璧、演出も2大巨頭の女優を中心に、様々な親子関係、兄弟関係を描いた、深い感動を呼ぶ秀作です。

朝鮮時代、聖王が築いた太平の世であっても、沢山の王子達を抱える、内命婦の長である王妃は毎日走っている。世子以外に4人の王子を持つ王妃の日常は、やんちゃな彼らの後始末に奔走する日々。少しでも隙を見せると、大君達を出し抜いて、側室が自分の子供達を出世させようと企んでいるから。ビリビリする緊張感と、王子達の子供っぽさが対象的で、微笑ましいシーンも多く、ホッコリさせられながらも、側室の出自や後見人の身分の高さで、序列が決まってしまう王宮の中は、いつも一触即発の危機を孕んでいる。
そんな時に、病がちな世子の死から、否応なく世子の座を獲得する為、王子達の熾烈な『受験戦争』が始まり、母親達や高官を巻き込んでの脅迫や賄賂の横行、派閥争いといった、”王だけが置いてけぼり”の手に汗握る、宮中内闘争が繰り広げられる。同時に世子の死に疑問を持った王妃やソンナム大君による、捜査活動で分かった、前世子との因果関係…狙われる王子…
王妃よ、どうする?どう動く?

謎含みの波瀾万丈な出足で、休む暇のない王妃が、頭のキレの良さで八面六臂の大活躍、王子達への深い愛情は、自分の子だけに限らず、側室の子にまで向けられて、賢王で聖王でもある王からも、政治家の立場で相談される程の能力を見せるし、時には狡猾な一面も見せて、悪辣な姑と真っ向勝負。こんな王妃、本当にいたならスーパーレディーです!キムヘスはハマり役でした。姑の大妃役のキムヘスクが、久し振りに演技対決で幸せだったと言っていたらしく、いい役者と脚本と演出が揃えば、相乗効果で、素晴らしい作品ができるんだなと、改めて実感。

ソンナム大君(次男)を演じたムンサンミンは、シュッとした顔立ちに背も高くて、低音のイケボで、次世代スター間違いなし!
訳あって宮中の外で育ったものの、弟達を大事に思い、兄を尊敬し、母の助け手となる、優秀な大君で、お転婆な兵半の娘の現代風な押しの一手に絆される所も素敵でした。誰よりも頭の良いポゴム君を演じたキムミンギは、なんと女神降臨のヒロインの弟役だったとは…どこかで見た顔だと思ったら…時代劇は化粧や髪型で全然違うイメージになるので、後から調べて驚くことが多いです。

最終回までハラハラドキドキしながら、ダレることなく飽きることなく、楽しめた本作、時代劇には必ずある、恋愛方面でのトキメキは残念ながら私にはなかったものの、様々な愛の形が描かれていて、特に親子の愛には感動しました。親が子を守り、やがては子が親を守る。傘の下ではそんなドラマが密かに繰り広げられているんだなぁ…
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