原作既読。さらに原作漫画は21世紀に連載が始まったジャンプ漫画の中では一番面白いと思うほどに出来が良いと思っています。
まぁそんな感じで原作大好きな人間なのでアニメ化の報を聞いた時には「どうせガッカリアニメになるんだろうな～」と思っていたわけですよ。流行りの売れ線アニメ(タイトルは挙げないが！)みたいに下品なカメラワークと煽情的なエフェクトと誰がやっても同じように聞こえる役者の演技で縦の映像で感情移入しまくり共感しまくりなクソどうでもいい映像作品になってしまうんだろうなぁ、と見る前から落胆していたのだが、いやこれが中々悪くはなかったですね。正直面白かった。まぁ俺が望んだ『チェンソーマン』の映像化は実写化なのでそれは叶わなかった(企画自体は現在進行形でありそうだが…)のだけど、このアニメ版も中々悪くないですよ。
画作りとしては引いたカメラをよく使って場をちゃんと見せるのがえらい。まぁそのおかげで視聴者が主人公に感情移入して作品世界に没頭するような縦方向の盛り上がりには欠けるのだが、背景や登場人物を俯瞰してそこにある世界の中にデンジたちがいるような印象を持たせることには成功している。ネタバレになるので細かい説明はしないが『チェンソーマン』という作品のテーマ自体が物語への同化による偏愛と耽溺を描きつつ、それらと共にいるしかできない自分を認めた上で自らをそこから切り離す物語だったので、本作のようにやや冷めたドライなカメラで物語を映すことは正解としか言えない。
いや実際びっくりだよ。ジャンプ漫画のアニメ化でこんなにまともに原作の意を汲んだ映像化が成されるなんて、あんまり記憶にない。まぁもちろん一切文句なしというわけではないが概ね面白いのではないだろうか。少なくとも俺がこんな風になったら嫌だなー、というアニメ化にはなっていなかった。具体的な文句を一つ挙げるとOPは曲も映像もダサダサだったな。というか劇伴は全体的に印象に残らなかった。EDはいくつか良いなと思ったのあるけど毎週変わるんだからそらいくつかはあるわな。
キンタマ蹴るとこよかったなぁ。あの感じが出てるんなら余裕でアニメ化成功だと思いますよ。とりあえず続きが来たら見ると思う。
