torumanさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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(2023年製作の映画)

3.8

北野武ではなくビートたけし

誰もが知っている戦国時代の武将、戦を元に描いた殺戮&パワハラ&BLのエンターテイメント。

一見してお金がかかっているのは分かるが、『影武者』や『乱』のような格調高さはあ
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理想郷(2022年製作の映画)

3.9

"ガリシア地方の男は、野生の馬を素手で捉えて印をつけて、また野に放つ"

閉鎖的なスペインの村に移住したフランス人夫婦アントワーヌとオルガ。
隣人であるアンタ兄弟との間に渦巻く、偏見・嫉妬・排他意識か
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.5

イタリア映画界の巨匠ベルナルド・ベルトリッチ29歳の衝撃的傑作。
午前十時の映画祭にて、初めてスクリーン鑑賞です。

少年期の性体験のトラウマより、マイノリティになる恐れを抱き、"普通"の人間である事
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.1

"バビーは死んだ"

母親に命じられるまま、35年間窓も無い部屋に閉じこもって生きてきたバビー。
とある事が原因で外界に出る事になる。
ヘルツォーク監督の『カスパー・ハウザーの謎』を連想させる作品。
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.7

デヴィッド・フィンチャーの『Mank/マンク』に続くNetflix作品です。
確かに配信向きで、大手スタジオでは無くフレンチ映画のような作品です。

マイケル・ファスベンダー演じる暗殺者killerの
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.2

1920年代の米オクラホマ、石油採掘で世界で1番裕福になった先住民のオセージ族の連続怪死事件と、その事件の捜査から浮かび上がる恐るべき背景。

石油噴出のスローモーション
白黒写真で表現されるオセージ
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.8

エンタメSFの皮を被った、インディペンデント作品の秀作。

ギャレス・エドワーズ監督は、巨額なフランチャイズ物で名を馳せましたが、この作品はデビュー作の『モンスターズ/地球外生物』の手触りに近いです。
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.9

13年間の出会いと別れを歌で繋ぐ岩井俊二ワールド

舞台
石巻〜大阪〜帯広〜東京
それぞれの時代のエピソードをシャッフルして進み、ミステリーのようにストーリーが紐解けていく編集の巧みさと、大円団へと向
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.9

「人をわかるってどういうことですか?」

豊田徹也の名作漫画を、今泉力哉監督と主演・真木よう子で実写化した作品です。

原作者の豊田徹也は「愛読者の人たちを、がっかりさせないように作ってほしい」との要
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ソナチネ(1993年製作の映画)

4.2

北野武作品の一つの到達点。

北島組配下の村川組の組長村川(ビートたけし)は、配下の片桐(大杉漣)やケン(寺島進)と共に、沖縄抗争の応援に借り出される…

抗争の中、徐々に減っていく村川組
石垣島の海
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.1

「どいつもこいつもキチガイだ」

公開当時の鑑賞から久しぶりの劇場鑑賞です。

元々、深作欣二監督・野沢尚脚本・ビートたけし主演の予定が、監督・主演の作品に。
その後の北野武作品のような作家性と、深作
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.1

「愛は絶え間ない流れのようなものよ。」

映画監督ジョン・カサヴェテスと女優ジーナ・ローランズの最後の共同作業であり集大成的作品。

人気作家のロバート(ジョン・カサヴェテス)は、愛情は薄く世間の常識
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

アクション純度100%の169分

重低音が響くキアヌの突き& Yeahから始まる、世界を股にかけた怒涛の殺し合い。
キアヌの口数は少ないが手数の多い、ノンストップの連続アクションです。

天井からの
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.7

当初気にしていなかった作品ですが、フォロワーさんの評価の高さと『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督作品という事で、急遽IMAXにて鑑賞しました。

Sony PlayStationと日産のプロモーシ
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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

3.8

世界で最も勇敢な映画監督、ジャファル・パナヒ
イラン政府から20年間の映画製作&海外渡航を禁じられたにも関わらず映画を5本も撮り続けています。
ちなみにこの作品が完成した直後、イラン政府に逮捕されまし
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エクソシスト/ディレクターズ・カット版(2000年製作の映画)

4.4

1974年オカルト映画ブームを巻き起こしたセンセーショナルな作品。
初めて映画館で観た洋画です。
今回はディレクターズカット版ですが、午前十時の映画祭にて久しぶりにスクリーンでの鑑賞です。

意表をつ
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.2

初めてのウルリケ・オッティンガー監督、「ベルリン3部作」の1作目です。

ベルリンへ片道切符で訪れた"彼女"がひたすらアルコールを飲む話。

"彼女"自身は殆ど喋らず、周りの登場人物の話す論評や朗読な
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.1

ドキュメンタリー作家森達也の初劇映画。
先週ソールドアウトで観られなかった作品です。

戦争、差別、個人が持っている意識・感情が悲劇に向かって収束されていく。

登場人物のエピソードが効いている。
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.7

「眠らなければ、目覚められない」

日本〜フランス〜アメリカに戻ってきたウェス・アンダーソン最新作です。

1950年代、アメリカの架空の町「アステロイド・シティ」での表彰式に招かれた5人のジュニア宇
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.5

「私はアナ」

スペインが誇る名匠ビクトル・エリセ監督の陶器のように繊細な傑作。
「午前十時の映画祭」で久しぶりに映画館鑑賞です。

1940年フランコ政権化のスペイン
養蜂家のフェルナンドの娘アナの
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.8

齡80歳になった、デビット・クローネンバーグ監督の最新作です。
衰え知らずの、ぶっ飛んだ内容とビジュアルで独特の世界に引き込みます。

近未来、環境に適応するため進化し続けた人類は痛みの感覚が消え去っ
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アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

4.2

映画における男女3人の組合せは、抗えない魅力があります。
『冒険者たち』、『明日に向かって撃て』、『突然炎のごとく』…『スターウォーズ』もそうかもしれませんね。
この作品もこの系列に連なる魅力的な作品
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バービー(2023年製作の映画)

3.8

なりたい自分になれる

マーゴット・ロビー制作、ノア・バームバック脚本、グレタ・ガーウィグ監督脚本の鉄壁布陣作品。

冒頭の"人類の夜明け"ならぬ"人形の夜明け"からバービーランドへ

ピンクが基調の
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

4.0

地に平和を

アルフォンソ・キュアロン監督の、子供たちに捧ぐ平和のメッセージ

2027年。
人類に最後の子供が誕生してから18年。
子供が生まれなくなった荒れ果てたディストピア。
世界が崩壊した中、
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恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.1

アメリカの名匠ウィリアム・フリードキン監督が87歳で死去。
急遽の追悼レビューとして、この作品を選びました。

『フレンチ・コネクション』、『エクソシスト』で名声を得て、巨額の資金をパックに制作した意
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メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

4.0

サンバの王様

2023年6月2日に逝去した、ジャック・ロジエ監督作品の初鑑賞です。

フランス西部のナントへ行く列車「メーヌ・オセアン号」に乗ったブラジル人ダンサーのデジャニラと、検札係のル・ガレッ
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.8

大人は何も知らない

『私は最悪』のヨアキム・トリアー監督とコンビを組んで脚本を書いていたエスキル・フォクトの初監督作品。
自国の映画賞で監督賞、撮影賞、音響賞、編集賞を受賞しています。

郊外の団地
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ジンジャーとフレッド(1985年製作の映画)

3.8

フェリーニ作品は、『8 1/2』と『甘い生活』が1番好きですが、愛してやまないジャンルに"ジュリエッタ・マシーナ枠"があります。

フェリーニが映画監督として有名になる前に結婚し、生涯の伴侶だったジュ
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.2

163分、強大な面白さに圧倒され続けました。

潜水艦〜アブダビ砂漠〜銃撃戦〜イーサン・ハント参上!
タイトルシークエンスだけで掴みはOK。
既に良質なポリティカルアクションレベルの満足度です。

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大いなる自由(2021年製作の映画)

4.0

ドイツ刑法175条

1945年から1969年までの同性愛禁止条令を背景としたハンスとヴィクトールの投獄の歴史です。

1968年、公衆トイレの隠し撮りで、男性との性行為を撮られたハンスは「175条違
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.1

「ロイヤルブルーではありません」

青く艶かしい生地が映し出される冒頭から、刺繍やボタン飾りが施されるラストまで、極上のカフタンが出来上がるのと並行して繊細で美しいドラマが紡がれていきます。

マリヤ
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

冒頭のスペクタクル感溢れる火災に瞠目し、続く戦時中の世の中と裕福な家族の描写から、『風立ちぬ』に近い手触りの作品になるのかな…。
宮崎駿が最後の作品として選んだ作品の延長線でも納得はいくなと思ってまし
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雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.0

ロバート・アルトマン監督「女性映画3部作」の1作目です。

30代の独身女性フランセスは、公園のベンチでずぶ濡れの青年を見つける。
その青年を自宅に連れ帰り、風呂に入れて食事を与えるが、青年は何もしゃ
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ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.0

ロバート・アルトマン監督の「女性映画3部作」の第2作目。
幻覚幻聴に悩まされる女性の姿を、ホラーテイストで描いた作品で、共同脚本も手掛けた主演のスザンヌ・ヨークが、カンヌ映画祭で主演女優賞を獲得してい
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.9

「痛くないところは?」

1981年巨大劇場の閉館が始まった頃、旧有楽座で観た『レイダース失われたアーク』。
巨大なスクリーン、1500人を超える座席数、それでも観客の立ち見が出来る。当時の熱気を今で
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ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.1

バフティヤル・フドイナザーロフ監督作品。
ユーロスペースの特集で初体験です。

ロシアとの国境付近のタジキスタンが舞台。
これから生まれるマムカラットの息子の一人称の語りで始まります。
演劇が大好きな
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