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エクソシスト/ディレクターズ・カット版のtorumanのレビュー・感想・評価

4.4
1974年オカルト映画ブームを巻き起こしたセンセーショナルな作品。
初めて映画館で観た洋画です。
今回はディレクターズカット版ですが、午前十時の映画祭にて久しぶりにスクリーンでの鑑賞です。

意表をつくイラクの遺跡出土の冒頭シーン。
止まる振り子時計、片目が半濁している鍛冶屋、スピードを上げる馬車に乗る老婆、
メリン神父と悪魔「バズス」の対決を予期する不吉なビジュアルが素晴らしい。

当時40代だった名優マックス・フォン・シドーの老けメイクと演技に驚きです。
当時の私は完全に70歳を越えた老人だと思ってました。

舞台が変わってアメリカのジョージタウン
俳優のクリスの娘のリーガンの様子が徐々におかしくなり、そのうち…

リーガンの異変〜治療〜エクソシズムの調査〜ラストのエクソシズム迄、じっくりとドキュメンタリータッチで描きます。
これぞフリードキンタッチ。

また、クリスのリーガンの"病気"への狼狽、家庭の不和からくるリーガンの不安、カラス神父の母を死に追いやった負い目の描き方もお見事。
この作品は、自分の中でホラーよりも、人間ドラマ(医療ドラマ)の位置づけです。

音と映像の効果も当時では画期的でした。
音や声が次のシーンに繋がる(トランジション効果)ことで、カラス神父の心の悩みと、クリスの悩みがシンクロし、終盤のエクソシズムによる救済に繋がる見事さ。

カラス神父の悪夢に代表される深層心理に働くサブミナル効果
ここでの一連の映像と悪魔の顔は、子供時代のトラウマとなりました。

終盤のリーガンの部屋での悪魔祓いの外連味とそこに至るまでのリアルさのバランスの妙。
エンターテインメントとアートが見事に結実した傑作です。
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