小嶋貴之さんの映画レビュー・感想・評価

小嶋貴之

小嶋貴之

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浜辺の女(2006年製作の映画)

3.7

恋愛劇という軸と散文的に繋がる出来事。
繋がりのない出来事が、恣意的な意味があるかないかわからない出来事が、夢で見る様に無規則に繋がるのは、まるでリアルタイプのデヴィッド・リンチ。
ホン・サンスのやり
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移動する記憶装置展(2023年製作の映画)

3.6

アート作品を見ている時の思考に巡らせてるような気分だった。

多分実際のインタビューとフィクションをシームレスに繋いだような作品で、芝居がとても自然で良かった。
人物のバックグラウンドとか描かなくても
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

やはりノーランは映画は上手くない。
ただそれ以外の映像に対する才能が突出し過ぎてて、そんな事どうでも良いか、と思わせる。

特に前半の話は、間も状況の説明もすっ飛ばして、それなのに早いカット割り(しか
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AFTERGLOWS(2023年製作の映画)

3.1

喪失感で自分がおかしくなってそのまま帰って来れなくなる→しかし本人は一番幸せな思い出へ。
誰もが通る道を、リンチは「イレイザーヘッド」を作って、塚本晋也は「鉄男」を作った。
そんな妄想の世界を、本作は
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

3.6

役者は魅力的。

だけど、説明不足過ぎて、リアルタイムなアクションでなく、リアクションで何が起こってるかわかる形は、見ててあまり想像させないので、イマイチ。

元々フィンチャーは画の人だったなと。

じゃ、また。(2023年製作の映画)

3.7

「巨人の惑星」に続いてみたので、序盤は「また貧乏臭い世界観か」と思って、一瞬気を失ってしまったが、その後から俄然面白くなって来て、気付いたら空間どころか時間さえも飛び越える展開に。

映画って限界無い
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走れない人の走り方(2023年製作の映画)

3.7

いろいろやりたいことをぶっ込んでいて、楽しい映画だった。
映画のための映画と言うか。

が、中途半端に物語や設定があるので、桐子はどうやって稼いで暮らしてるのかとか、桐子とプロデューサーの関係(とても
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私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

なかなか面白かった。
しかしこれが事実だというのが恐ろしい。

毅然とした態度のイザベル・ユペールが良かった。
鋼鉄な意志の中にひびが入るような脆さを垣間見せる事で、この話の強度を感じた。いかにも被害
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裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「悪い奴ほどよく眠る」みたいなタイトルだなと思ったら,内容もそうだった。
美しいロケーションと脚本の対比が見事で、ずっと飽きずに見られた。
特に脚本が丁寧に感情を押さえつつ、それにうまく沿って物語が進
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ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

3.5

思った以上に映画に無邪気と言うか、タルコフスキーの様な世界感と白黒のノワール感と相まって、ビジュアルの強い映画。
話はとても単純。当時のその国の背景がわかったら何か感じるのかもしれないが、ただただ映像
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

モノは上から下へ流れる。
これを見事に貫き通してる脚本がまず見事。
そしてフラットにものを見た時に「悪」と言うモノは存在せず、摂理だけがある。
人間レベルでは理解しきれないものがそれを含む摂理がそこに
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ただいまはいまだ(2023年製作の映画)

3.3

悪くはなかった。
なんかもう少しバックストーリーなのか、描写なのか欲しい。

Flip-Up Tonic(2023年製作の映画)

3.0

30年前の自主映画の様。
芝居が素人だからか。こう言う意味ありげなセリフ的仕掛けのある作品こそプロを使うといいんだけどなぁ。
そういう意味でPFFが好みそうだった。

章立てで自制をバラバラにした作り
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見知らぬ人の痛み(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

コンテンツモデレーターと言う設定や、テーマ、時間軸を追いながらも、コラージュの様な断片を並べた映画の造りはとても好み。
後頭部のカットに代表する全てを見せないショットも先鋭的でとても良い。

ただいろ
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母という名の女(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ミシェル・フランコ、やっぱ凄い。
ファーストシーンから驚かせて、いい母親で前半何も動きないなと思ったが、中盤から母親が本性を現せてくる。
娘を勝手に養子に出したかと思えば、自分で引き取り、その娘の旦那
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

前半で情報が整理されて提示されるのが巧妙。
中盤以降はそこに細かい裏切りを加えて物語が加速していくのも見事。
冒頭の見せ方から、メガネに映る絞殺シーンだったり、影の使い方だったり、テニスシーンの一人だ
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.8

ミシェル・フランコの冷徹さが,一番わかりやすく出てる映画。

緑の水が出るところから、昔の使用人が金を借りに来て不穏がはじまり、どうしようもない終わり方へただただ突き進む。

人間の悪の部分をこれほど
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或る終焉(2015年製作の映画)

3.8

淡々と介護者の日々を綴っていく。
それだけなのに、それだからか深くて重い。
全く説明が無く淡々と伝える事を逆手にとって、相当いろんな仕掛けをしてくる。
脚本賞貰ってるけど監督賞あげたい。

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.9

ほぼ法廷シーンに絞った造りなので、世界の殆どを台詞で伝えねばならず、そこがどう思うかだけど、感情はちゃんと伝わった。

女性の抱える大きな闇を男性は知らずに、のうのうと生きてるんだなと。

呪術が本当
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.7

25年ぶりに鑑賞。全く忘れてたので楽しくみれました。
単なる映像パズルが楽しいけど、それしか無いのは物足りないかな。
6000ドルで撮ったのは驚き。人件費ボランティアだとしても。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

とてもシンプルな人間関係の話なのだけど、登場人物の気持ちが凄く伝わってきた。
特にアーサーの気持ちが凄く伝わった。
アーサー側の話で見たい。

あとやはりノスタルジーを感じさせる映画は画作りが大事なん
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君だけが知らない(2021年製作の映画)

-

何度も途中で見るのをやめたり、男性二人の顔の区別がなぜかつかなくて、集中力も欠けた為、全くストーリーがわからなかった…。
見てないと同じなので無得点で。

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.7

やたら評判良いので期待しすぎたかも。
役者はみんな良いのだけど(誰も誰かを責めないのは今っぽい)、動機が弱く切実さがあまり無いので、どこかでどうでも良い話、と思ってしまった。
全体的なコメディの作り、
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泥の子と狭い家の物語(2022年製作の映画)

3.7

思ったより面白かった。
妄想かどうかわからないファンタジー設定で細部を曖昧にしてるのが雑に見えたり、人物の行動原理があいまいだったりして、物語の強度を落としてるのは勿体無いけど、カタルシスはあった。
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小原庄助さん(1949年製作の映画)

4.0

この作品を見て思ったのは、映画は様を撮る事が一番重要だと言う事。
意外性で裏切ったり、美しかったり見たことない世界を見せたり、と言うのは副次的なもので、本質は様を見せる事だと思った。


あと、とても
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(2020年製作の映画)

3.0

母との関係性だったり、細かいところが上手いなー、と思いつつも全体的には食い足りない。もうちょい見たい。

ジュリアン(2017年製作の映画)

4.0

共同親権の話題で、この映画が持ち出されてるけど、それ以前にストーカーの話だった。

グザビエ・ルグラン、めちゃくちゃ演出が上手い。視線の使い方やなんでもないシーンをやたら長く見せたりすることで不穏さを
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Winny(2023年製作の映画)

3.8

淡々と描く事でいろんな感情を想起させる手腕が見事。

役者はみんな良かったが、東出昌大が本当にプログラミングが好きな、大きな子供に見えて素晴らしかった。

私がやりました(2023年製作の映画)

3.7

スクリューボールコメディなプロットが楽しい映画。
ルビッチや、日本で言うと三谷幸喜?
ただテンポが早過ぎるので、説明を端折り過ぎて、頭の中で繋げないといけない部分があるのが残念。
しかしこう言う映画は
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.9

役者の芝居がたまらなく楽しい映画。
父兄妹のケンカのシーンは最高。

前半と後半で分かれてしまう作品。
もし兄二人が前半にも上手く絡んでたら、そうは見えなかったかも。
また窪田、大賀の存在理由がだんだ
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ダリー・マルサン(2014年製作の映画)

3.8

ああ、群青いろってこうだったよな、と言う重さエグさ炸裂の作品。
ほぼ追い詰められた人しか出てこない。
編集で捻る映像効果も楽しいし、全く退屈はしなかった。

ただ廣末パートの過去のやつ必要だったのかな
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隣人は静かに笑う(1999年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

いやー、これは凄かった。
サスペンスとして脚本も上手い(と言いつついくらか突っ込みたくなるところもある)し、役者もいい。
ティムロビンス夫妻の不気味さよ。。。
終わり方の衝撃よ…。

ラストの方のカー
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.6

とても王道な復讐映画。
するかしないかずっと迷ってるのが良いですね。
でも結局犠牲者出してしまうのが切ない。

演出、撮影がとても端正。

人に非ず(2014年製作の映画)

3.0

こだわりのある演出、画作りは良かったが、他が全て弱い。

撮影も照明をまともに使って無くて決まってないし、脚本も説明無い事を手抜きのために使っているように見える。

タクシードライバー風なシーンもあっ
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

プロットは最高に面白くてとても好み。

押さえた演じや画作りも品を感じて美しかったし、芝居も無駄がなくて、とてもわかりやすかった。


なんだけど、編集がストイック過ぎて、フリとオチしか見せない、もし
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