いや~普通に面白かったし、アニメ版を思い出しながら懐かしく観た。原作は1980年代のバブル期へと向かう新宿歌舞伎町の猥雑さが余すところなく描かれていたし、今振り返ればあまりにもハードボイルド色が強め>>続きを読む
どこかの港町。解体工場が舞台で、組織の底辺にいる人間にはいつも面倒な汚れ仕事が舞い込んで来る。冒頭から唐突に映画は始まる、というか始まっている。いや、正しく言えば最初は過去形なのだが、主人公の辰巳(>>続きを読む
昨年の迷作『キラーカブトガニ』に引き続いて今年の『キラー・ナマケモノ』というキラー・フレーズにはゴールデンウィークのMEGA盛り祭りここに極まれりの感慨に浸る。タイトルの時点で明らかに数年後の午後の>>続きを読む
あの赤いジャケット(実際はピンク色)を羽織ったポスターの彼女の太々しいまでの表情が最高で、これはもう絶対にゴールデン・ウィークに観なければならないと心に決めていたのだが、とにかく壮絶に涙が出た。とい>>続きを読む
スティーブン・スピルバーグが世界中で起きる戦争の歴史の全てを自身のフィルモグラフィで描かんとする一方で、イタリアきっての巨匠マルコ・ベロッキオもまた、キャリア最終盤に差し掛かってから、様々な時代のイ>>続きを読む
例えば山崎貴の『ゴジラ-1.0』や庵野秀明の『シン・ゴジラ』のおそらく数倍の製作費がじゃんじゃん投入された作品だし、もしかしたら日本のゴジラ・シリーズとはゼロが1つ違うスケール感かもしれないが、鑑賞>>続きを読む
濱口竜介監督と石橋英子さんのコラボレートである『GIFT』の上映は昨年11月の東京フィルメックスで体感している。そこには74分の映像マテリアルがあり、それぞれのシークエンスに併せて石橋英子さんが弦楽>>続きを読む
まさに傑作『青春 春』の正しいプロトタイプのような作品で、6年ぶりの再見だが本当に素晴らしかった。月並みな言い方だが感動した。今作の立地は長江デルタ地帯なのだが、新疆ウィグル自治区でいま起きている問>>続きを読む
今回のジャック・リヴェット特集も3本全てが3時間余りと長尺で、それなりに覚悟がいるのだがこれが一番楽しい。去年の『デュエル』と『ノロワ』はかなり内容的に厳しく、こちらにもアップしなかったはずで、今回>>続きを読む
今回の3本の中では割と優等生っぽいルックの1本ではあるがだが然し、今作も生真面目で冗長な前半パートに対して、後半の唖然とするような展開にゾッとする。アンナ、クロード、ジョイス、セシルという4人の女性>>続きを読む
その熱狂的な興行は、アパルトマンの一室で日夜繰り広げられる。女2人男1人による戯曲は三角関係による痴話げんかを繰り広げる真に下世話なものだが、その日の公演の帰りに、私はこの戯曲の創造主だと告げられる>>続きを読む
このポスターと予告編でいったい誰が観るのかと思うし、あからさまに昭和で時計の針が止まっている映画だが、私が観た回では50過ぎの老人主に男性を中心に結構なお客さんが入っており、こういう平和な映画を愛で>>続きを読む
ジャニー喜田川の痛ましい事件を以てしても、ペドフィリアを持ちながら、性加害に加わらずにじっと身を屈めるように暮らしているいわゆるペドフィリア予備軍は恐らくこの世の中には無数にいるはずで、そのような人>>続きを読む
滝田洋二郎の『陰陽師』前後編は一応観たもののまったくノレず、今となっては内容すらほとんど覚えていないのだが、何というか野村萬斎と伊藤英明のやりとりがうすら寒かったことだけは僅かに覚えている。ただ今井>>続きを読む
かつて単行本でタル・ベーラの傑作『ニーチェの馬』という映画を、タイトルの割には大仰な映画と評した山田太一氏の批評眼をもってすれば、あらためてリメイクされた今作を冷静にどう捉えたただろうか?かつて大林>>続きを読む
先んじて言えばオタクには成功も失敗も存在しない。むしろ成功したオタクなら、率直に言って形式的ではなく感覚的にオを重いヲにすべきではないか?オタクではなくヲタク。と言えるディープな階層こそが90年代的>>続きを読む
予告編を観た時点では、J・G・バラードの傑作SF小説『ハイ・ライズ』と今年のイスラム映画祭で再見し、改めて傑作だと思ったマチュー・カソヴィッツの『憎しみ』を足して2で割ったような物語だと思ったのだが>>続きを読む
『The Witch 魔女』とその続編となる『THE WITCH/魔女 -増殖-』の大ヒットが記憶に新しいパク・フンジョンの新作は『The Witch 魔女』トリロジー・シリーズの完結編ではなく、随>>続きを読む
当時今作を観て、相当攻めた脚本とビジュアルだと思ったのだが、再見してもやはり素晴らしい。今のディズニーやピクサーがどう頑張っても作れない感触が今作にはある。それは夢寸前のところでいつも挫折を経験する>>続きを読む
いや~これは欄外から凄まじい映画が現れた。社会学的にもこれは相当な労作ではないか?ジャパン・クオリティが現在も唯一通用する世界線と言えるのがジャパニメーションで、日本に居れば、映画ならずTVにおいて>>続きを読む
ソフィア・コッポラの映画はいつだってガーリーでエレガントでスマートに見える。それは処女作『ヴァージン・スーサイズ』で大人の世界を覗き見た少女の黄昏そのものだ。あるいは『マリー・アントワネット』におい>>続きを読む
いやはや今年で何年目かという春の風物詩にすっかり定着した感のある『劇場版 名探偵コナン』シリーズだが今回は特に豪華な内容だった。とりあえず黒ずくめの組織や烏丸蓮耶とのシリアスな攻防は一旦脇へ置いて頂>>続きを読む
何やら最近『変な家』という映画が流行っているらしく、あっちに期待値MAXで行った人の何割かを根こそぎ釣り上げたいという欲求はよもやないとは思うのだが、今週のやっちまった案件がこちら。いやぁ酷い。想像>>続きを読む
タイトル通り、ニューヨーク、ブルックリンでスランプに陥っていた現代オペラ作曲家である夫スティーブン(ピーター・ディンクレイジ)が、掃除が大好きな潔癖症の精神科医で、パートナーでもあるパトリシア(アン>>続きを読む
孤独で、どことなく寂しくて退屈していた。毎日が暇だったという若い男の独白。それをじっと見つめる刑事の視線。小説家志望の若い男ビル(ジェレミー・セオボルド)は、日々の孤独に耐え切れず、好奇心で街で見か>>続きを読む
冒頭からカラフルでビビッドな背景の中、印象的な文字列が連続して並ぶ。もう本当にセンスの塊のようなアヴァン・タイトルは必見で、これからどんなセンセーショナルな物語が始まるのかとワクワクするのだけど、い>>続きを読む
『ハロウィン』や『エクソシスト』や『ゴースト・バスターズ』のまさかのフランチャイズ・シリーズの華麗なる復活に接し、もはやどの方向から何が来てもおかしくないアメリカ映画2024年の世界線にまさかの『オ>>続きを読む
呪われた一家フォン・エリック・ファミリーの悲劇とは多少ゴシップ的にも語られる40年前の世界線だが、あまりにも不幸な出来事として人々の記憶に刻まれている。80年代に新日派やUWF派ではなく、全日派だっ>>続きを読む
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは幼馴染で、お互いに恋心を抱いていたが、ノラの映画監督と作家の両親が韓国を離れることになり、はなればなれになってしまう。人間誰しもにある幼い頃の初恋の郷愁と>>続きを読む
『犯罪都市』シリーズも数字を振らずに進み出したことで、『ワイルド・スピード』シリーズと同じようにわけがわからなくなりそうなのだが、1作目は中国、2作目はベトナムで今度の舞台は日本である。ベトナムでの>>続きを読む
LGBTQIA+の恋愛映画に次々に名作が生まれる中、確かにストレート同士の恋愛はすれ違いしかなくて退屈よね、と言わんばかりに韓国では遂に、すれ違う夫婦による風刺の効いたシュールで毒のあるラブ・コメデ>>続きを読む
弁護士の夫の共同経営だか共同参画だかわからないが、心底つまらないその会合の席の喧騒をすり抜ける様に後にした人妻がホテルの外で行われているベトナム反戦デモを目撃する。この一つの場面が予兆する全てを観客>>続きを読む
波が時化るニュージーランドの海に一艇のボートがようやく上陸する。母子は微妙な海の匂いと長旅の疲れに足元もおぼつかない様子だが、女はピアノの行方だけを見据えている。スコットランドからニュージーランドへ>>続きを読む
写真家としてニューヨークで一時代を築いたナン・ゴールディンのドキュメンタリーなのだが、いやはやこれは凄まじい二層構造に心底えぐられた。これは被写体を見つめ、被写体の魅力にフォーカスした凡百のドキュメ>>続きを読む
盟友ハロルド・ライミスの死に一過言あるオリジナル・メンバーたちが、令和ミレニアム世代を盛り立てる為に再度集結する辺りが80年代のブロックバスターを知る世代にも刺さり、思わぬヒットを遂げた『ゴーストバ>>続きを読む
最初にこれを書くのはどうかと思うのだが、あらかじめクリストファー・ノーランの作劇というのは、1回こっきりの鑑賞を前提としていない。観客は一度鑑賞した後、人物の相関関係や時系列の並びを確認するためにも>>続きを読む