netfilms

ゴーストバスターズ/フローズン・サマーのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.7
 盟友ハロルド・ライミスの死に一過言あるオリジナル・メンバーたちが、令和ミレニアム世代を盛り立てる為に再度集結する辺りが80年代のブロックバスターを知る世代にも刺さり、思わぬヒットを遂げた『ゴーストバスターズ/アフターライフ』だったが、コロンビア・ピクチャーズがまさかの続編(トリロジー計画)までぶち上げるとは思いもしなかった。シリーズ第1作目と第2作目の監督を務めたアイヴァン・ライトマンのご子息で、いつまでも大人になり切れない『JUNO/ジュノ』や『ヤング≒アダルト』ら青春群像劇の旗手として知られるジェイソン・ライトマンが監督を引き継いだ『ゴーストバスターズ/アフターライフ』から2年を経て、前作で共同脚本を務めたギル・キーナンに白羽の矢を立てるジェイソン・ライトマンのアイデアが絶妙で、フランチャイズ・シリーズというのは監督がいながら、製作総指揮権を持つジェイソン・ライトマンに最終決定権があるという一番楽なパターンを選ぶジェイソン・ライトマンは、ここでシリーズの続編を手掛けて便利屋に終わるよりもむしろ、製作総指揮に回ることで自身の作家性を保ちたかったのではないか?

 全世界氷結という文言にキリンの許可は取ったのかと思いつつも、春休みのティーン向けのハリウッド映画でありながら、それ以上でも以下でもない独特の塩梅はシリーズ特有の楽天性が感じられる。ビル・マーレイやダン・エイクロイド、アーニー・ハドソン、しまいにはアニー・ポッツの付託を受けたおかげで確かにオリジナル・ファンを唸らせるような豪華な同窓会的な何かは映っていて、確か前作ではハロルド・ライミス追悼のためと1作限定を宣言したビル・マーレイがまさかの続投で今回も涼しい顔で任務を飄々とこなすものの映画は中盤、勢い勇む少女の病巣にフォーカスした辺りで微妙に失速してしまう。市長役のあの人の再登場もあるものの、主人公である15歳の娘を幸福な籠の鳥にしようとする家族の論理及び中盤の展開が随分と胃もたれする昭和な感覚で、ブロックバスターに熱狂した当時の新世代が急速に保守化する様子は観ていてとても辛い。主人公の独白もまったく実を結ぶことがない辺りも随分と暗く、ゆっくりと落下して行った印象で、正直言ってこれは退屈だと思った。脚本上の修正箇所はあるにしても、邪悪で可愛いミニ・スノーマンから派生し、活劇的な何かを生み出せなかったのかと疑問も残る。15歳のゴーストバスターズな主人公が成仏できない青い光に惹かれる辺りも、もう少し脚本が洗練されていれば見せ場にはなった気がするし、青春群像劇の旗手であるジェイソン・ライトマンの後方支援が今回はあまり活きていない。私は吹き替え版を観たのだが、レイ・パーカージュニアにオマージュを捧げた新しい学校のリーダーズ版が、見事なまでにド滑り申しあげていた。
netfilms

netfilms