crnさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ツユクサ(2022年製作の映画)

3.0

誰かにとっては過去の不幸の象徴であったものが、別の誰かにとっては幸せへの希望になることもあるように感じさせる作品。自然の光が満ちた画面と、港町の風景が明るい雰囲気で良かった。小林さんの恋愛モードが新鮮>>続きを読む

コングレス未来学会議(2013年製作の映画)

4.0

50年以上前のディストピア小説の世界に、現代が近づいていっていることにひやりとする作品。AI俳優やメタバースだけでなく、人生観も含めて幻想世界寄り。

幻想世界で人は気の合う人とだけ共に生き、ほぼ命の
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ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)

3.5

RBGが最初の性差別のケースを勝つまでの話。わずか数十年前まで、あれだけの数の法律が性差別を含んでいたことに驚く。歴史的な性別役割分担を前提とした判例の積み重ねに対し、時代の変化という視点で挑めたのは>>続きを読む

マッチポイント(2005年製作の映画)

4.0

人生において運が過小評価されているという考え方は新鮮で、それを描く脚本も見事。作品を通してずっと運の影響力が強調されていたのに、男に懲悪があると当然に期待したことを鑑賞者が気付くラストが良かった。罪と>>続きを読む

夏の終り(2012年製作の映画)

3.0

過去も今も、恋愛の中にずぶずぶと生きる女の話。観終わって、女の独特の喋り方と声がずっと耳に残る。
短いカットの連続など物言いたげな脚色が重なり、時間を操作して独特の雰囲気につながっていた。昭和の街や自
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.5

東京にあるピラミッドの上層と下層に生きるふたりが、それぞれ育ってきた世界の連鎖から抜け出す話。ふたりの対比と影響し合う様子が分かりやすく描かれていて、特に門脇麦が原題貴族を見事に演じた印象。テーマを何>>続きを読む

アバウト・ライフ 幸せの選択肢(2023年製作の映画)

2.5

オープニングで舞台の映画化と知り、納得。6人だけの登場人物で進む物語は、舞台上なら会話劇メインでおもしろいのだろう。原題の”Maybe I will”が示す、不確かさがあっても結婚に価値を見出すという>>続きを読む

幸せはシャンソニア劇場から(2008年製作の映画)

3.5

邦題のイメージとは異なり、不幸な時代がベースにあるお話だった。あと少しで望む幸せに手が届きそうになっては、希望が打ち砕かれることが続く。華やかな中盤を経て、ラストこそ大団円かと思いきや、その手前で終わ>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

10歳の子の視点を通すことで、戦争を、特にナチスを、こんな風に描けるのかと驚かされた。靴紐の演出も、子どもらしさが感じられて切ない。

ヒトラーユーゲントとしてのジョジョの世界の偏りも、その幸せな世界
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

1週間のルーティンを丁寧に楽しむ生活をする男の日常と、周囲の人々の行動によって次々起こる小さな事件を通して、この男が失ったものを想像し、大切にしている感覚を共有する作品。日常をどう終わらせるのかと思っ>>続きを読む

キエフ裁判(2022年製作の映画)

4.5

淡々とした証言の記録であったものが、判決に向けて一方的な視点から作られた舞台になり、最後にはドイツとウクライナ/ソ連が転倒したかのようにさえ見えて恐ろしい。残虐な事象の束から人間の本質に帰納していくよ>>続きを読む

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

3.5

自分好みな方のウディ・アレンらしい作品。いつもながらの本人的役が、本筋から唯一ちょっと浮いた存在かと思いきや、最後にど真ん中に入れてくるあたりさすがの自己顕示。その時代のNYの狭い人間関係の中で、ドロ>>続きを読む

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2(2011年製作の映画)

3.5

第8作は全面魔法対決。謎解き部分についていけず、ストーリーはよく分からないまま対決を見守った感覚。ハリーの親子愛だけではなく、この7年間で出会った人たちとの関係や犠牲によって勝てた闘い。

ヴォルデモ
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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1(2010年製作の映画)

3.5

分霊箱を集める3人の旅の前編が映画第7作。それぞれが一緒に旅する覚悟を決めるシーンが印象的。7つのアイテム集めという冒険物語の中で、これまでの出会いをもう一度巡っていく最終章らしい展開。

ハリー・ポッターと謎のプリンス(2008年製作の映画)

3.5

ハリーからして悪側にいるキャラクタがよく描かれた第6作。5作見てきたスネイプやドラコに視聴者は肩入れするけれど、ハリーが憎むのもわかる。分霊箱というキーワードが出てきて、最終章の序幕感があった。

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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(2007年製作の映画)

3.5

学校だけで語られていた魔法界に、魔法省の存在感が増して世界が広がり全面対決感が強まる第5作。ホグワーツが魔法省に支配されることで、ハリーは強い信頼を寄せる友人の輪を広げていく。ドラコとの関係が決定的に>>続きを読む

ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005年製作の映画)

3.0

死が身近になる第4作。画面が暗すぎて、自宅で見ると判別できないほど。青年期に入ったハリーが一人もがき、孤独も強まる分、友情/友達との愛情が家族愛からテーマを広げていく。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

3.5

キャラクタが一気に増えて、世界観が広く深くなっていく。少しずつダークな要素が増えていくのに合わせて、テーマの親子愛も強まっていく第3作。時間を巻き戻して解決していくわかりやすさが良い。

物語としては
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ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年製作の映画)

4.0

一作目の余韻をしっかり引き継いで展開していく2作目。引き続き子どもたち3人の謎解き的要素が強く、世界観を発見しながら楽しく観られる。

ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

4.5

文字から一人ひとりが想像していた魔法界をどう映像化するのかと思ったら、こんなに魅せてくれるのかと驚かされたのが懐かしい。もはや20年以上前の作品とは。

シリーズ通してCGは進化していくけれど、新しい
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ノッティングヒルの洋菓子店(2020年製作の映画)

3.0

サラの喪失をきっかけに集まった、彼女の母、娘、親友、元恋人が、彼女の夢であったベーカリーを営む。キャラクタの掘り下げが少ない分不幸せな展開は短めで、全体的にハッピーに進むから見やすい。

エンディング
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ドーナツキング(2020年製作の映画)

4.0

ポルポト政権から逃れたカンボジア難民の男が実現するアメリカンドリーム、からの転落、からの難民2世たちが創り出す新しいドーナツ文化の話。国単位の大きな歴史と、家族単位の小さな歴史の重なりを見せるのがドキ>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

3.5

冷たくて硬い無機質さと、動物らしい生々しさが混在する独特な作品。

自分の感情を認識し、それをコミニュケーションに乗せることがうまくできない女性。最初はロボットのようにさえ見えた彼女が、情報が加わって
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セックスで繋がる3つの世界/ZOOM ズーム(2015年製作の映画)

3.5

入れ子構造×映画やアニメという表現を取り入れたつくりが新鮮。3つの世界のつながりを理解するまでや、理解してから本当の世界はどれかと気にしながら見る時間が、体験としておもしろかった。エンディングは消化不>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.0

映像の美しさと、飲食や調理の音が特徴的な作品。冒頭の料理シーンは躍動感たっぷりで、良いものを見せてもらった気分になる。

一つひとつのシーンが何を語っているのかは分かるのに、全体はストーリーとして分か
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赤毛のアン(2015年製作の映画)

3.5

久しぶりに赤毛のアンの世界に触れ、少女の持つ想像力や何かに憧れる気持ち、溢れる言葉の純粋さが懐かしく良かった。日本語字幕に松岡花子版の訳を使っているのも、個人的には嬉しかった。

ストーリーは当然端折
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僕と彼女のファースト・ハグ(2020年製作の映画)

3.5

あまり見たことがない中国映画を見てみたら、こんなコメディもあるのかと嬉しい驚き。
ファンタジーを前面に出した街の作りや画面の色味に、音楽も加わって楽しい。ビターな要素もしっかり聞いた分かりやすいストー
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ねこあつめの家(2016年製作の映画)

3.0

猫見たさに流し見で鑑賞。ゆるゆると流れる時間とたくさんの猫に、気持ちが昂ることのない90分を過ごせる。

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.5

罪にならず罰を与えられない過失の重さと、喪失の悲しさがどれほどかを徐々に見せていく展開に引き込まれる。街の描写から、兄と甥との美しい思い出や、亡くした娘に与えた苦痛の想像という心理描写に移っていく流れ>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.0

前評判が良かったので鑑賞。男女の心の声の掛け合いが、共鳴とすれ違いをテンポ良く見せていく流れが分かりやすい。

社会人になったことでの環境の変化や、責任の自覚と共に将来を考えることでの思考の偏りの描写
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30年後の同窓会(2017年製作の映画)

3.0

リンクレイターを求めて視聴。視聴者の政治的思想の強度によって見方が分かれそうな作品。会話劇は面白いものの、作品としてのまとまりがわかりにくい印象。

中道に寄せようと努力したようで、でもベテランへの配
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

アメリカという国に、美しい自然があり、社会保障が十分にないことが見える。ファーンはじめ特に高齢者たちが、何かを失った経験を消化する過程で、家族と物理的距離を意図的にとり、ランダムに出会う人たちと助け合>>続きを読む

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

3.5

大人向け少年漫画のようなスパイ映画。バディを組む2人の強さとキャラクタの対比が、歴史を活用した役柄の設定が、ノリと迫力が、あり得ないものを実写で見せるおもしろさになっていた。思わせぶりなラストと、オー>>続きを読む

YARN 人生を彩る糸(2016年製作の映画)

3.0

編み物のもつ多様な側面を感じられる作品。街中のかぎ針編みというと、日本ではお地蔵さんの洋服のイメージで、あながちそこにある感覚とも離れていい点も。

堀内氏は独自の視点からの観察を多く論じていて面白い
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インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

3.5

ダブルスパイ、銃撃やアクションシーン、善悪の転倒と要素盛りだくさんで、後半のたたみかけがおもしろく、リメイクされるのも納得。中盤までは、若い頃のシーンの役者の顔が違いすぎたり、登場人物が見分けられず混>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

当然のこととして、母と子は世代が違って、それぞれの役割を通した関係性の中にいるものなのだと思わされた。同じ歳の母と過ごす数日を静かにしっかり受け止める少女を見て、自分自身の個人的な経験を重ねる鑑賞者は>>続きを読む