話の大筋よりも、素敵だなと思える小さなことがたくさんある作品。バラと農園の景色、人が人にかける言葉、そしてベタベタしきらない人間関係が、見ていて心地よかった。
経営破綻も犯罪も、バラ作りへの執着だけ>>続きを読む
歌舞伎町を舞台に、女性探偵の周りにいる雑多な人たちのオムニバスを大団円でつなげる、という感じにしたかったのか。主人公の描写が断片てきだから、いっそのこともっとオムニバスに振り切ってしまった方がよかった>>続きを読む
物語を観ながら頭の中で自然に想像するその後の展開が、全部裏切られていく作品。主役の相手役が変わるに従い、ジャンルも変わっていく。その相手役を最後の最後にさらりと奪った妻は、振り返れば序盤から役割を柔軟>>続きを読む
くだらないエピソードが続くふざけた展開を、想像以上のテンポで見せられるジェットコースター映画。環境、先住民、介護、不貞、などに触れ、深入りするのかと思いきやしない潔さ。何人か生死が分からないままだった>>続きを読む
犯人でなく、犯人を押さえた人=たまたまそこに居合わせた人を主人公にする新鮮さと無理矢理さ。ヒロイズムとナショナリズムを全面に出してまとめるのがいかにもイーストウッドらしい。
本人役を演じていたことに>>続きを読む
ドキュメンタリー作品の撮影を通して見る現実と、それを遠隔撮影する監督の滞在地にある現実。そのどちらにもいる希望を失う人たちを、パナヒは客観的に見つめているように見せながら、いくつかの意思表示をしていく>>続きを読む
ものすごい数の要素を詰めみ、それらに引っ張られて物語が進むうちに家族のつながりができていくお話。あまりのローラーコースターっぷりに興醒めしてもおかしくないのにうまく大団円になるのは、プロヴァンスの色彩>>続きを読む
ジャーナリストが信念と信頼を通して孤立した被害者たちという点をつなげ、全体像を見せていく。奇しくも自分の国が同様の事態の渦中にいるときに鑑賞したことで、声を上げたことで批判に晒される被害者や、加害を許>>続きを読む
良かれと思っての過干渉が子どもに与える影響を親が認識することは難しかったり、自立心から子どもが親ととった距離は大事な存在を失うまでうめられなかったり。描かれるのは普遍的な親子の目線のずれ。
やや強引>>続きを読む
老いについての記録作品を想定していたら、老いるまでを共に過ごしてきた夫婦と一人娘の家族愛についてだった。脳梗塞で身体が不自由になった母が娘にかける言葉や、妻を看取る夫の言葉、2人家族になった後に父が娘>>続きを読む
サガン見たさに鑑賞。主役2人の掛け合いに加えて、娘の病気と息子の不信心を乗り越え(ようと頑張ってい)た両家の親たちの心配もよく描かれていて、傍で展開を見守るような気持ちになる。
面白く可愛らしいラス>>続きを読む
死を望んでいた世界が一変して、色んな人間が生きる世界に希望が感じられる作品。変な人がたくさん出てきたり、少しのきっかけで優しいやりとりが生まれたり、カウリスマキらしく良かった。
抑えられた表情や言葉>>続きを読む
雪国で父を訪ねる子どもの小さな大冒険。最初と最後の数分、そしてカメラのメモリーを通して垣間見る父子の関係があたたかい。
一方で、一歩間違えば子どもが死んでしまう展開が多過ぎて、テーマと反する印象も受>>続きを読む
少年が一夏に経験した激しい恋愛感情と喪失。軽い口約束がオブセッションになり、それに従った行動を自ら物語として記すことで昇華させるという展開が、痛々しくも純粋で美しく見えた。周りの大人たちが優しいのも良>>続きを読む
家族の間でも、鑑賞者にも語られない旅の目的。母の悲しみや父の憮然とした態度が表すものから状況と感情を推しはかりながら、別れの旅だと知っていく作品。おなじような家族が沢山いる場所から現実に戻るところで迎>>続きを読む
大人のお姉さん役の広瀬すずちゃんと、高校生らしくまだ子どもっぽい男の子が新鮮。その他の方々も含め、キャスト(と大森の食べ物)の印象がストーリーを食ってしまっていた。
たやすく友人を傷つけてしまうという思春期にありがちな経験が、完全な喪失の体験となってしまった少年。その喪失との向き合いをじっくり見せる作品。
少年たちの表情と視線を見せるクロースアップがとても印象的>>続きを読む
自分のためにアルゴリズムを最適化していく存在は、本質的に他者ではない。それを認識してもなお、自分と寄り添いコミニュケーションをとってくれる存在を求めてしまう人間の性質がよく描かれていた。アルマのレポー>>続きを読む
様々な母親たちとその子たち、あるいは母親になるかならないかを問う人たちの群像劇を、母の日を通して見る作品。普遍的なテーマを、現代のパリを舞台に見せるとこうなるのかと興味深かった。挿入される引用や絵画、>>続きを読む
史実で筋書きは想定できたので、最も気になったのは終わり方。同胞殺しを別の立場から経験した人々とともに次の世代を見守るアイダの姿に、今この時をスレブレニツァでこのように共に生きている人々がいる事実を改め>>続きを読む
20年で性についての表現がここまで変わったのかと驚かされる。今この作品をリメイクしたらどうなるのかばかり気になってしまった。
作品そのものはわかりやすい筋立てで、冴えない見事に女性がヒロインになって>>続きを読む
一方的に父親に棄てられた傷が、彼女に棄てられることで深く自覚され、今度はなりふり構わずしがみつく未成熟な子どものままの主人公。そこから、きちんと対峙したからといって他者との関係は思い通りにならないこと>>続きを読む
個人の人付き合いや行動が家族からすると不安や怒りを呼ぶものであったり、それが家族の関係性にも影響を及ぼすものであったりすることは、程度の違いはあれど(両親の性別に関わらず)当たり前のこと。それでも子ど>>続きを読む
ワンショット風の撮り方に目線を持っていかれ、現実と舞台、現実と幻想の境目のない世界に引き込まれる。ドラムの音もアドレナリンの放出度が感じられるようで迫力があった。
精神分裂の悲劇、かと思いきや、再生>>続きを読む
本当に美徳がよろめいただけで終わっていた。道徳的観念が転換してからずぶずぶの関係になっていくからこそ、ラストの手紙が効くのだと小説の良さを発見。映画版は旧態の価値観の描写が多めだった。
小説を読み終>>続きを読む
過剰飲酒についての物語の帰着点が想像とあまりにかけ離れていて、恐ろい映画、というより文化を見た気になってしまった。友人との輪の中で最後まで理性を保てず、妻に暴力的な態度を取り、友の破壊的な飲酒を止めら>>続きを読む
人間の弱さと純粋さ、そして傲慢さや執着をじっと観る2時間。映画としては尻窄みな印象。原作本より吉岡の内省的な面が少ないのか、時代性を感じさせる表現が露骨なのか、視覚的にややうるさい印象だった。
この>>続きを読む
サスペンスの緊張感から転換するラストが見事。エンディング後を想像させ、余韻も強かった。劇中音楽が主人公がかけるレコードのものというのも好きだった。
鑑賞後に残像が浮かぶほど気味悪く見えた主人公。他人>>続きを読む
シニアのお伽話。色々強引なストーリーに目くじらを立てず、パリの街で水を得た魚のように生き生きとするミセス・ハリスの可愛らしさと夢に向かう一途な姿を見守る気持ちになる。
ディオールのオートクチュール製>>続きを読む
かなり介入していくので一般的なドキュメンタリーのイメージと異なり、社会実験を記録したような作品。その介入者が、現場の人たちにとってのピアであり、積極的に優しさを示していくというのが独特でおもしろかった>>続きを読む
バカリズムさんの脚本目当てで鑑賞。突拍子もない展開のおもしろさと、人の良い脇役が主役になる瞬間続きのあたたかさ。どたばたなのに、笑いながら癒される感覚もあってよかった。
粋がって小さな冒険に出る少年たちの無鉄砲さにはらはらしたり、打ち明け話に同情したりしているとあっという間の90分。大人になった主人公の語りで物語が閉じるのがとてもよかった。
子どもの頃に見てからは情>>続きを読む
紛争の描き方として、最前線の戦闘そのものを見せず、マンションの一室の一日を切り取るというのが新鮮だった。女性子ども老人が、あらゆる暴力に襲われ、他者の命を天秤にかけなければならず、先の見えない状況で恐>>続きを読む
前半のコメディ部分から、前科者同士と分かってからのどたばたあたりまではとても面白い。後半になると作品の都合で主人公他多くのキャラクタに一貫性がなくなる。ついていけなくなったところで典型的な出産ハッピー>>続きを読む
テーマとタイトルがまさに今の日本の関心事で、着眼点勝ちな作品。
ここまでコメディに振ったことに驚くとともに、テーマを真っ向から回収せず人間関係が大事と丸く収めるのが、かえって当世を反映しているのかも>>続きを読む
作り手の思いと優しさを強く感じる映画。言語、宗教、文化、障がい、貧富といった人と人を隔てやすいものがあっても、共に生きていくことはきっとできると、タレンタイムを通して、音楽の力も借りながら伝えていた。>>続きを読む