crnさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(2018年製作の映画)

4.0

映像美と生命の循環に圧倒される。動物や自然の姿をゆっくり見せながらも90分にまとめられている編集も上手。

人間の手で、わずか7,8年で生態系を作ることができるとは。自然が主人公だけれど、必要な助力を
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近松物語(1954年製作の映画)

4.0

前半と後半で人間関係もテンポもがらりと変わり、最初と最後の磔シーンで見えるものも違う。まとまりのとても良い、きれいな作品。浄瑠璃を意識させる音とストーリー展開が、カメラの動きで映画化されているのもおも>>続きを読む

チケット・トゥ・パラダイス(2022年製作の映画)

3.0

主演2人が20代30代の頃ににやっていたことを、50代60代版にしたような作品。ビアポンまでさせるとは。同世代のファンが昔を懐かしがりながら、リッチなバリ旅行への憧れとともに見る感じかも。

エンディ
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パピチャ 未来へのランウェイ(2019年製作の映画)

3.5

イスラム原理主義の圧政のもとで人権を奪われていく女性たち。考えの異なる級友たち、芯のある姉、女性軽視を内面化していく男たちに対して主人公がとる言動に、自由を求めるということを見る。

主人公が無鉄砲す
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カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.5

ウディアレンは作品ごとに個人的な好き嫌いがはっきりするけれど、これはエンターテインメント作品として好きだった。キャラクタと設定に引き込まれ、物語の展開がとてもスムーズで、苦さと甘さが混じったエンディン>>続きを読む

ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

3.5

10代のメンタルヘルスの問題をテーマにしたミュージカルがあったことに驚く。エヴァンとアラナがお互いを見つけたところが特に良かった。孤独や恐怖、理解への渇望を歌に乗せて強く訴えられると、観ていて感情が揺>>続きを読む

もしも君に恋したら。(2013年製作の映画)

3.0

ストーリーは期待通りの(もしくは想像を上回らない)展開だけど、見慣れた役者たちが見慣れない役どころで集っているのがおもしろかった。特にアダム・ドライバーは印象的。トロントとダブリンが舞台というのも珍し>>続きを読む

バックコーラスの歌姫たち(2013年製作の映画)

3.0

バックシンガーのドキュメンタリーという着眼点のおもしろさ。有名歌手たちが次々インタビューに出てくるのも見ものだった。

音楽業界の中での米国黒人歌手たちの位置付けや70年台の興隆、そしてアップトーンの
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15年後のラブソング(2018年製作の映画)

3.5

色々あり得ない設定や展開が続くのに、最後まで白けずテンポよく観られる。脇役までキャラクターが皆個性的でわかりやすく、田舎と都会の街の転換も効果的で、何より主役2人の人間味が魅力的だからか。ラストの少し>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.5

皆が自然に誰かを受け入れて励ましていて、観ているこちらも励まされる作品。岡田惠和さんの脚本とエンドロールで知り納得。

宮本さんの愛らしい言動と、愛菜ちゃんの素直な表情に心をつかまれる。悪い人が一人も
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私の名はパウリ・マレー(2021年製作の映画)

4.0

RBGからの繋がりで鑑賞。要素が多く複雑なマレーの人生と歴史を、短時間でよくまとめている作品。

ブラウンの肌に生まれたことで黒人差別の対象となり、女性の体に生まれたことでも差別の対象となり、かつその
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RBG 最強の85才(2018年製作の映画)

4.0

最高裁判事のニュースで聞いていたいくつかの出来事が、この一人の女性によるものだったと知り驚く。そしてその背後に、彼女が怒りを抑えて知性で積み重ねてきた判例が歴史としてあったことを知り敬服。

彼女に似
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スイング・ステート(2020年製作の映画)

4.0

色々な種類の笑いが続いてテンポよく進む中盤からの、エンディングのどんでん返し。鑑賞後感の良い良作。

田舎/都会や民主/共和の描き方が、シニカルな笑いを通して見るとおもしろい。選挙マーケティングにおい
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運命じゃない人(2004年製作の映画)

3.5

複数の視点を順番に見せていくかたちの伏線回収コメディ。気を抜いて鑑賞してたら、だんだんと世界が重なり夢中になっていく、その構成がおもしろい。

最初の視点で中弛みしてしまうのと、俳優たちの中で突き抜け
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ジョーンについて(2022年製作の映画)

3.5

ユベール見たさに観賞。期待を裏切らない雰囲気、かつ想像よりも悲しさが底にずっとありながらも前向きな作品だった。

大事な人を失った記憶を、別の大事な人に寄りかかれるようになってようやく片付けられるよう
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エル プラネタ(2021年製作の映画)

4.0

現代の貧困をしっかり描いた作品だった。その日暮らしに悲壮感がない親子は、隣にいてもおかしくない。親子の自然な空気や、人に騙されて傷ついたり猫を偲んだりする繊細さに、人としての魅力も感じる。ただ、堕ちて>>続きを読む

きばいやんせ!私(2019年製作の映画)

2.5

物語の大筋は分かりやすいのに、核のない作品。細々としたありえないこと続きの展開からのファンタジー要素の追加、ドキュメンタリータッチからの小ボケ的オチ。

キャストが良いから期待してしまったが、ただ雑だ
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.0

キャラクター、映像表現、想像の世界や個人の視覚のインサート、言語の違いや語らぬこと、歴史的モチーフの取り入れ、などなど、何らかの深さを感じさせる要素を満載にすることで成り立っている映画のように思えた。>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

不可解さと不快さと、それなのに既知の感覚や共感も呼び起こされる。不思議で静かに衝撃的な作品。唯一無二な感覚に陥る。

良い人であったはずの主人公が、実は貪瞋痴のかたまりであったということ。執着の方向を
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アバウト・レイ 16歳の決断(2015年製作の映画)

3.0

若さゆえの率直さや脆さと意志の強さのあるキャラクターが魅力のエル・ファニングを観る作品かと思ったら、ナオミ・ワッツがそれを喰っていて良い驚き。ただ、色々な要素を詰め込んだ後に力づくでハッピーに向かう話>>続きを読む

アカーサ、僕たちの家(2019年製作の映画)

3.5

自然の中で生きていくには家族/集団が必要で、その必要性がこの家族をまとめていた。社会の中に移され、集団の構成員が個人になっていく過程が興味深い。親子関係の捉え方、外部への順応性、集団内部への依存度合い>>続きを読む

靴ひも(2018年製作の映画)

3.5

発達障害によって共に暮らすことが難しいのではなく、決定的に否定された/した過去を持つ親子がやり直すことの難しさの方が普遍的で、よく描かれていたように感じた。

ガディの明るく真っ直ぐな性格が、物語を引
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ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

3.5

ジャケットから老人と若い子の心温まるストーリーかと思ったら、ただの良い人たちの話ではなく、それぞれの人間らしい欠点のようなものがしっかりストーリーに絡んでいて良かった。展開が読めなくてはらはらしながら>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.5

テンポ良い裏切り劇が続いた後の、きれいにまとまったラストとオチ。あて書きもな納得の大泉さんだけでなく、それぞれの役者が役柄のイメージにぴったりで安定感抜群。期待される大どんでん返しはないけれど、期待通>>続きを読む

ニューヨーク 親切なロシア料理店(2019年製作の映画)

3.0

ロシアものかと期待してみたら、完全にNYもので、たまたま恋愛の舞台がロシア料理屋ということだった。

子どもを守るためとも言いがたい行動が多い主人公。行動規範がないように見え、視聴者も振り回されるばか
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私の知らないわたしの素顔(2019年製作の映画)

3.5

心理療法の対話で明かされる過去、創作の中で明かされる心の一部、他者の言葉で知らされる事実、と畳み掛けられていく。繊細さと、展開全体とホラーにも思えるラストが良かった。

ビノシュの雰囲気の変化や人の弱
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

主人公の声がほぼ聞こえず、表情も読み取りにくい前半は、視聴者は生活音が響く中で彼女の心をひたすら想像する。その後、他者に音読される日記、差し込まれる過去の日、そしてケイコの撮り方によって、徐々に彼女の>>続きを読む

ガッジョ・ディーロ(1997年製作の映画)

4.0

よそ者として異国の地でひとつの世界に交じったときの感覚を見事に蘇らせてくれる作品だった。デュリスの表情や主人公のキャラクタのシンプルさもあり、彼の感情の動きや気づきに自然と共感していた。

ロマを象徴
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安城家の舞踏會(1947年製作の映画)

3.5

敗戦から2年で、こんなヴィスコンティ的な作品が作られていたことに驚く。

ストーリー全体はもちろん、象徴的な小道具やセリフからも、古い時代を脱して前に進んでいくというメッセージがとても分かりやすく強く
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禁じられた歌声(2014年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

イスラム原理主義たちに街が支配されていく様を描いた作品。現実が残酷だったから、表現されたものも残酷だった。人権を奪われた社会の不条理が、ひたすら恐ろしく悲しかった。

史実と制作意図を知らずに鑑賞した
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キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

3.5

B級映画性が作品のつくりにマッチして驚きや笑いにつなげていた部分が原作の最大の魅力だとすると、本作は原作に忠実に作り込まれているところが面白かった。リメイク版としての再現性と、フランス版としてのオリジ>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.5

その人にとってその時点では切実な動機に基づいていそうな言動がとても浅はかさで、それがエスカレートしていく様があさましかった。YouTuber/動画での発信という原題的な題材を上手く使っているのもよかっ>>続きを読む

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)

3.0

筋書きが面白いのはわかる。ただ、暴力をアクションとしてみられないので、暴力シーンの量が個人的に合わず。

イーディ、83歳 はじめての山登り(2017年製作の映画)

3.0

テーマは明快で、それに沿ったストーリーになってはいる。ただ、少しでも登山経験のある人は受け入れ難いし、主人公2人の家族/人間関係の描写が不足しているから物語に深みがないなど、色々とアラが目立つ作品。>>続きを読む

カランコエの花(2016年製作の映画)

3.5

夢の中のような白っぽい世界で描かれる、普遍性のあるお話。良かれと思ってとった言動が相手を傷つけてしまうことは、人が成長する過程で経験すること。その悲しみで止まらないで、という願いが感じられるラストだっ>>続きを読む

すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

4.0

安楽死を通じて見る一つの家族の物語。母との関係、恋人との関係、それぞれの娘たちとの関係、家族で共有するホロコーストの経験、常日頃の態度やユーモア、そして身体の状態の変化と、父にまつわる描写の厚みが圧倒>>続きを読む