半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価

半兵衛

半兵衛

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地図のない町(1960年製作の映画)

3.6

ドヤ街を牛耳る悪党と蹂躙される庶民という図式を徹底的なリアリズムで描いた社会派映画ではあるが、中平康監督らしい洗練されたテクニカルな演出や日活が誇る超一流スタッフによる洗練された技術が映画的な興奮を生>>続きを読む

金髪乱れて(1932年製作の映画)

4.0

スペンサー・トレイシーとギャルなジョーン・ベネットによるラブコメがウォルシュ監督ならではの個性的なキャラたちによるギャグの連打とともに暴力的なまでに繰り出される一方で、ギャングたちの悪事が様々な伏線と>>続きを読む

愛に濡れたわたし(1973年製作の映画)

3.3

主人公を含めて登場人物たちはみなドラマのなかで人間として存在しているけれど、誰一人としてアメリカ映画のように理論的に動いている人はおらず謎めいた言動や行動を繰り返していくので観客はそんな不条理なドラマ>>続きを読む

江戸っ子判官とふり袖小僧(1959年製作の映画)

3.1

冒頭での牢内でのやりとりが映画の内容に対する期待を高める素晴らしいものだったけれど、そのあとは普通の東映時代劇に。とはいえミステリー的な演出は結構凝っていたし、沢島忠監督のテンポのよい語り口が心地よい>>続きを読む

栄光(1926年製作の映画)

3.0

苛烈な戦争と一時もたらされる休暇ののんびりとした時間の落差を象徴的に描いた演出は興味深かったし戦争の過酷さを容赦なく描いていくという後年の作家たちに多大な影響を与えた視点もなかなか良かったけれど、いか>>続きを読む

マドリード美女連続殺人(1973年製作の映画)

3.8

偶然から人を殺してしまったホテルを経営する中年姉妹が気に入らない宿泊している女性を殺害していくドラマ、とにかく姉妹の歳をとり体のあちこちが衰えてしまったことをこれでもかと言うくらい丁寧に描いているので>>続きを読む

昼下りの情事 古都曼陀羅(1973年製作の映画)

3.5

養父の毒牙にかかりインモラルで変態な調教を施された娘と彼女を好きになった青年の刹那的な性愛、それでも暗さをあまり感じさせないのは一見すると気難しそうだけれど実は一途で真面目な山科ゆりが本当の愛を通して>>続きを読む

デンマークの息子(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

日本も他人事ではなくなってきた移民問題を取り扱った一作、いくら労働力が足りないから移民を歓迎する方向性とはいえどこかにそんな外国人が罷り通る社会に不満を持つ奴らが存在していつしかテロ行為に走りこの映画>>続きを読む

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

3.8

例え戦争が起こっても音楽は人々の心を癒し、次の世代に確実に引き継がれやがてそれは国をも結んでいくことを四つの国の様々な家族のドラマが耽美的な長回しで綴られていく語り口は魅力的だし、音楽のチョイスも見事>>続きを読む

実録桐かおる にっぽん一のレスビアン(1974年製作の映画)

4.0

製作当時話題となっていたレズビアンショーのスター桐かおるを取り上げたドキュメンタリースタイルのドラマ、桐かおるやその関係者たちによる生活やショーの模様を捉えた貴重な映像資料としての価値もさることながら>>続きを読む

大雷雨(1941年製作の映画)

4.0

ウォルシュが男二人女一人による三角関係のメロドラマを手掛けたらやはり過剰なアクション映画に。主人公たちが勤める電力会社は荒っぽくて常に下品な冗談ばかり交わしすぐに喧嘩もするけれど電線修理という仕事には>>続きを読む

恐怖の火あぶり(1979年製作の映画)

3.5

『サイコ』のようで実は『CURE』だったという連続殺人犯のお話、冒頭の事故を放置する様子から精神を病んでいることが一発で理解できる演出で心を掴まれそのあとの母親死亡から束縛してきた存在がこの世からいな>>続きを読む

喜劇 家族同盟(1983年製作の映画)

3.8

家族ごっこが本物の家族になっていく様をコミカルさと泣かせの場面を巧妙に組み合わせ、見ごたえのあるホームドラマに仕立てた中島丈博の脚本が光る佳作、そしてそんな脚本を軽妙でありながらドラマの要点をしっかり>>続きを読む

昭和侠客伝(1963年製作の映画)

2.5

石井輝男監督作品ということで期待すると、あまりにも平凡な出来栄えの任侠映画なのでちょっとがっかり。まあ石井輝男監督はふざけたりインモラルな映画は得意だけれど、こういうコテコテな内容を美学として昇華して>>続きを読む

肉体の反抗(1957年製作の映画)

3.0

筑波久子が主演なのにfilmarkarでは名前すらクレジットされていないってどういうことなんだ…。

母と妹を失い、その原因となった愚連隊に素性を隠して近づき自らの肉体を武器に復讐していくヒロインによ
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.0

ジョン・ウィックシリーズは回を重ねるごとに上映時間が長くなるのが気になっていたが、チャプター4はとうとう二時間半の尺に。でもアクションの分量が増えただけでドラマは大したことはないというのが困ったところ>>続きを読む

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.2

キアヌ・リーヴス本人の奮闘ぶりもさることながら工夫されたアクションの数々は圧巻だし、それをフルコースどころか食べ放題レベルの圧倒的な量でもてなしてくるので気分はお腹一杯に(でも量が多過ぎて飽きがきてし>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

3.5

ストーリーは破綻しているけれど、トム・クルーズのスター性と体を張りすぎたド派手なアクションの数々という極上のサービスで押しきってくるので不思議と気にならなくなる。キムタクもここまでやればネットで批判さ>>続きを読む

ミュラー探偵事務所(1986年製作の映画)

1.5

何だろう、バブル期の日本映画にも通じるチャラいノリと馬鹿馬鹿しいネタで押しきるスタイルは嫌いじゃないけれど徹底的にそれで貫き通してくるので辟易させられる。ハードボイルド映画を徹底的にパロディ化するとい>>続きを読む

狂った一頁(1926年製作の映画)

3.5

『ガリガリ博士』のようなドイツの表現主義を目指したつもりが、元女形(日本映画では1920年代に女優が登場するまでは歌舞伎と同様男性が女性役を演じていた)だった衣笠貞之助の仕草にこだわる情緒的な演出が加>>続きを読む

暴行儀式(1980年製作の映画)

3.5

不良を題材にした作品はさほど好みではないけれどこういうみみっちい不良映画は好き、ワルというにはあまりにも幼くてやる根性も覇気も持ち合わせていない少年たち四人が逆恨みで元暴走族を襲撃する冴えない日々。ア>>続きを読む

現代娼婦考 制服の下のうずき(1974年製作の映画)

4.1

曽根中生監督のいびつで無機質な演出と前田米造カメラマンによるセンスのある映像が憎しみあう二人の女性のドラマをメロドラマとしての定石から逸脱させ、ハードボイルドなウーマンドラマを形成していく。そしてそん>>続きを読む

デッドマン(1995年製作の映画)

3.5

何度も鑑賞するたびにゆったりとしたリズムと美しきモノクロの映像詩、ニール・ヤングによるスコアが心地よくて寝落ちしてしまう一作、今回も寝ずに鑑賞しようと試みるも残念ながら途中で挫折する羽目に…。

それ
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キートンの囚人13号/ゴルフ狂の夢(1917年製作の映画)

4.0

ゴルフに熱中しているキートンが服を脱走囚と交換させられ囚人と間違われしかも収容された当日に処刑されそうになるも回避し、そして逃げるため刑務官の服を奪うとなぜか刑務官になり大脱走を目論む囚人と対峙すると>>続きを読む

銃殺(1964年製作の映画)

4.0

人殺しという社会の倫理に反した行為がまかり通る戦争で人間の罪を裁く裁判をおこなう不条理。しかもその罪は家族が恋しくなったための単なる脱走罪なのに、建前論にこだわる上層部はちゃんと調べもせず主人公を重罪>>続きを読む

剣聖 暁の三十六番斬り(1957年製作の映画)

3.0

チャンバラスター嵐寛寿郎の五十代とは思えぬ巧みな太刀さばきをただただ堪能する古き良き時代劇映画、映画的には特に新規工夫もされておらずオーソドックスな造りになっているが半世紀以上前のお客さんはスクリーン>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

4.5

実話という割には勧善懲悪の度合いが強すぎないかとか所詮スターありきの企画じゃないかとけなしたくもなるが、それでもその完成度の高さはゆるぎないし久々に鑑賞しても面白かった。

冒頭のメインテーマとタイト
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アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

2.5

序盤での一人二役の奇妙な使い方をはじめ、遊園地で買い物もレストランも見せ物もピクニックもリハビリセンターもやってしまうという超強引な展開は老人を大切にしない人間への批判というディストピアなテーマを突き>>続きを読む

法王の銀行家 ロベルト・カルヴィ暗殺事件(2002年製作の映画)

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DVDのパッケージからホラー映画かと予想したら鑑賞したら実在の事件を基にした真っ当な社会派映画だったのに戸惑ってしまったし、事前に事件に関する情報を仕入れなかったため主人公をはじめとする登場人物や所属>>続きを読む

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

5つの国で起こるタクシー運転手と客のちょっとしたユーモア溢れる小話を通して人間を愛でるジャームッシュらしい語り口のドラマの出来もさることながら、舞台となる5つの都市の街並みやその夜景の美しさ、キャステ>>続きを読む

Seventh Code(2013年製作の映画)

3.1

前田敦子のプロモーションビデオ映画のはずなのに、なにも説明せず冒頭から不穏すぎて共感しにくい主人公前田敦子の突飛な言動と行動ではじまるためいつもと変わらぬ唯一無二の黒沢清ワールドになっていくのはさすが>>続きを読む

レッド・アフガン(1988年製作の映画)

3.5

ソ連によるアフガニスタン進行を題材にした戦争映画、ロシア人をアメリカ人俳優が演じてしかも英語で喋っているので全く雰囲気が出てこないという難点はあるがそれでも一般人を巻き込んだ武力活動が復讐を呼びそれが>>続きを読む

フロンティア・マーシャル(1939年製作の映画)

3.0

冒頭での街の発展(暴力も建築もすべて街の一部としてあっさり処理される)にはじまり、実在した保安官ワイアット・アープとドク・ホリデイの友情、悪党との対決というてんこ盛りな内容を71分という短い時間でハイ>>続きを読む

人妻拷問(1980年製作の映画)

4.0

低予算ポルノゆえのチープさは否めないものの、それでも暴行され自殺した妹のために暴行した男三人ではなく彼らの妻へ報復することで自分と同じ気持ちを犯人に味わわせんとする主人公の歪んだ愛とその結末を丁寧に描>>続きを読む

恋の狩人 欲望(1973年製作の映画)

2.3

前作以上に観念的な内容だったのでしんどくなったが、それでも60年代の安保世代を象徴するジャーナリストが70年代を満喫する若き女性と結ばれているもそのギャップに苦悶していくという展開に世代間の埋められな>>続きを読む

ラブ・ハンター 恋の狩人(1972年製作の映画)

2.5

日活ロマンポルノが始まったばかりの状態でまだフォーマットが決まっていない試行錯誤の中製作された一作としては興味深かったけれど、別に大して面白くはなかった。伝説の映画監督山口清一郎の手腕も大島渚やゴダー>>続きを読む

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