半兵衛

昼下りの情事 古都曼陀羅の半兵衛のレビュー・感想・評価

昼下りの情事 古都曼陀羅(1973年製作の映画)
3.5
養父の毒牙にかかりインモラルで変態な調教を施された娘と彼女を好きになった青年の刹那的な性愛、それでも暗さをあまり感じさせないのは一見すると気難しそうだけれど実は一途で真面目な山科ゆりが本当の愛を通して自分の自由を掴むという前向きなドラマになっているからかも。養父に犯されるときア◯ルを表現していたピンポンがたびたび登場する蜘蛛の巣が象徴するように束縛となり、青年との愛でそれが解放され呪縛が解かれたことをラストのトイレで表現する様も下品だけど良い意味で開放的(ちなみに『祭りの準備』を見ていると脚本を担当した中島丈博は山科ゆりと自分の境遇を重ねながら描いていることが理解できるはず)。

小沼勝の耽美な映像美学が京都の世界観とマッチしていて、重苦しく淫靡なエロスを醸し出している。京都の名跡で繰り広げられる絡みも罰当たりだけどアートチックで画になっている。

坂本長利の画家のド変態ぶりがはまり役、あと若かりし風間杜夫の精悍な顔立ちが青臭い主人公とマッチしていた。そしてこの世界で抑圧されてきたことを体全体で表現する山科ゆりの存在感。

ちなみに京都へ旅行して訪れたとき本作で重要な撮影場所となった化野の念仏寺を訪れ「こんなところでエロシーン撮ったのかよ」と感嘆したのは良い思い出。
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