半兵衛

金髪乱れての半兵衛のレビュー・感想・評価

金髪乱れて(1932年製作の映画)
4.0
スペンサー・トレイシーとギャルなジョーン・ベネットによるラブコメがウォルシュ監督ならではの個性的なキャラたちによるギャグの連打とともに暴力的なまでに繰り出される一方で、ギャングたちの悪事が様々な伏線とともにいつしかトレイシー演じる刑事のドラマに結び付いていく後半のストーリーが見事すぎて頭がバグりそうになってしまった。特に終盤、隠れていたギャングと板子一枚で気づいていない主役とのいつバレるかというサスペンスやベネットがあることから姉が事件に関わっていることを知りそこから一気に犯人との攻防戦になだれ込んでいく展開の凄さよ。

トレイシーとベネットによるハードボイルドみたいな台詞回しなのにやってることはラブコメというギャップあるやりとりも印象に残るけれど、それ以上に酔っぱらいによるしつこすぎるコメディパートがこれでもかと繰り広げられるのがかなりのインパクト。でも物語には全然絡まないという。

ヘイズ・コードがまだ徹底される前の作品らしく性やそれに準ずる表現がそこかしこに存在する。なかでもベネットの親父さんによる恋人と遊ぶ娘に気遣った発言は隠喩どころではなくどぶろっく並にストレート。

無表情っぽいけど愛する人にはデレるヒロイン像だったり恋人が刑事だったり、ラブコメとサスペンスの両立と後年同じ監督と女優で製作される『アメリカの恐怖』を彷彿とさせる部分も。

それにしてもエロ映画と勘違いしそうな適当すぎる邦題は誰が考えたんだ。
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