半兵衛

栄光の半兵衛のレビュー・感想・評価

栄光(1926年製作の映画)
3.0
苛烈な戦争と一時もたらされる休暇ののんびりとした時間の落差を象徴的に描いた演出は興味深かったし戦争の過酷さを容赦なく描いていくという後年の作家たちに多大な影響を与えた視点もなかなか良かったけれど、いかんせん声や音楽、効果音が全く入っていない映像の状態が延々と続くのは雑多な音の波に慣れてしまった現代人にはきつくて途中何度か寝落ちしてしまったのも事実。あとウォルシュ監督にしては作品のリズムが緩慢なのも映画の魅力を半減させている。

男の映画を撮ってきた監督らしい荒くれ男どもが喧嘩したり女と遊んだり酒を飲んだりという男汁満載なストーリーが展開される、それと個性的なキャラが繰り出すギャグが次々と出てくるが舞台が戦場なのでどことなく虚しさが漂う。そしてマザコンの新人兵士のエピソードはテンプレだけれど戦争の空虚さをより強調する。

馬鹿騒ぎをしている間に登場人物がふと洩らす戦争に対する台詞の数々も印象的、なかでも三十年ごとに若者を戦争に出していくアメリカの現状を憂う主人公の台詞は現代でも通用するのでドキッとした(だとするとこのままでは2030年にまたアメリカが戦争に参加するのか)。

いつもいがみ合っていた二人の兵士が死線を乗り越えてやっと休暇をとれたのに…というオチは良いのだけれど、結構長めの尺を使ってクドクドとやっているのでだれてしまうのもマイナス。いつものウォルシュ監督ならスパッと終わらせていたのにどうしたのだろうか。

普通の戦争映画よりも火薬を何十倍も爆発させた壮絶な戦闘シーンも見所。
半兵衛

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