ロバート・エガース監督が、『ハムレット』の源流にもなった、北欧神話ベースの復讐譚を撮る…!
北欧神話やヴァイキング好きには、堪らん出来でした(逆に、多少は北欧神話の知識が無いと、オーディンにヴァルキリーにヴァルハラに烏に狼に、設定についていけない懸念あり)
未だかつて、ここまでの圧倒的ビジュアルと狂気じみたダークさで、北欧神話を題材に撮られた映画があっただろうか。
『アサシンクリードヴァルハラ』の緻密な舞台考証に、『ゲーム・オブ・スローンズ』のスペクタクル感、『300』を彷彿とさせるラストの決闘シーンと、これまでに存在した点と点を収集しながら、ひとつにして昇華したような仕上がり。
ストーリーは多少の捻りはありつつも、王道まっしぐら。プロットだけだと、単調な何処にでもあるB級になりそうなところ、それを補って余りある何たる画の強さ!
豪華過ぎる俳優陣も含めてだけれど、北欧×ケルト味溢れる美術の出来の良さに、何より雄大かつ澄み渡った冷たさを放つアイルランド&アイスランドの大地と空の美しさと、スクリーンが放つ本物感と誘引力が凄まじい。
このクオリティのまま、ゆっくりドラマで観てみたい…と一瞬思ったけれど、重厚感が凄すぎて137分別の世界に持っていかれていたので、単体映画である意味救われた気もする。
This is 眼福。