蛙

土を喰らう十二ヵ月の蛙のレビュー・感想・評価

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)
4.0
自分語りしますね。
映画やゲームの他に、趣味にしているのは「料理」。作っていると没頭出来るし、その時食べたい献立を考えるのも楽しいし、献立がハマると美味しい、家族も喜んでくれる。短期的な実益はかなり高い趣味だと思います🍚

そんな料理好きとして公開時から気になっていた作品。山深い農村で自給自足の生活をしながら、執筆活動を行っている主人公(水上)勉。『パーフェクトデイズ』の平山さんよりも更に徹底したミニマリスト、と言うよりもお坊さんに近い暮らし。
むむむ、っと何か引っ掛かるのも平山さん以上。特に編集者であり恋人でもある真知子の存在。冒頭から「いい男だわ〜」「だろぅ」のやり取りに、思わずチッと舌打ち。(私が偏屈なだけかもですが。。)

文句も言っていますが、鑑賞感はとても爽やかで、抜けがいい。それはやっぱり、今作の中心にある「食」の所為だと思います。畑で採れる野菜、山に入り採ってくる山菜、それらを見て献立を決める。羽釜でご飯を炊いて、野菜のおかず、漬物、味噌汁と一緒に食べる。土井善晴さんが監修したそれらのご飯は、贅沢で素朴な美しさ、そしてもちろん美味しそう!!
中盤以降、死生観を取り扱っても暗くならないのは「生きるのは食べる事」の言葉そのままに「食」の底抜けな前向きさと、明るさの力なのだと思います。

幸せとは何だろう、とたまに考えますが私にとっては「美味しくご飯を食べる事」はその一つなのだと再認識する鑑賞体験でした。
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