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ベルリン・天使の詩 4K レストア版のQIのレビュー・感想・評価

4.5
【午前十時の映画祭】

“天使はいつもそばにいる👼”

4月から始まった今年のゴゼシュウですが、自分としてはこの作品からスタート

公開時ぶりのスクリーン鑑賞、そしてマイヴェンダースベスト☝️

『ローマの休日』の撮影にも参加したアンリ・アルカンの映像の美しさ

モノクロとカラーのコントラストは今回の4Kレストア版でその美しさがより際立っていたような気がします

さらにペーター・ハントケによる、詩の朗読を聞いているよう美しいドイツ語のセリフの心地よさ

初見時にはそんな映画的な部分に意識がいっていましたが、そのイメージを大きく変えたのが、公開2年後におきたベルリンの壁崩壊

その衝撃的な映像を目にしたとき、本作を真っ先に思い出しただけでなく、ツルハシを振るう市民たちの横に天使の姿が見えたような気がして…

そして最近本作を思い出させたのが、そのレビュータイトルに本作タイトルを引用することになった『パーフェクトデイズ』

今回の鑑賞で2つの作品の共通点をあらためて感じました

空からとらえられた街を貫く高速道路とそこを走る車

舞台となる東京下町は東京大空襲で、ベルリンは市街戦で多くの人間の命が奪われ😢

『パーフェクト…』の平山を僧侶のように描こうとしたというヴェンダース

僧侶は仏と人間の仲立ちをする存在

天使は神と人間を仲立ちする存在

天使が集まる図書館を思わせる平山の家の本棚

ラジカセから流れる音楽

天使が人間になって初めて口にしたのは平山が毎朝飲むコーヒー

平山が恋心を抱いたスナックのママは天使が恋したブランコ乗り

ときおり現れるホームレスは平山にしか見えない天使か?

ただ二つの作品の違いは『ベルリン…』で天使が人間になろうとしたのに対して『パーフェクト…』での平山は人間から天使になろうとしているように見えたところ

たとえそんな違いがあったとしても、描かれている本質は全くブレていません

どんなに辛いことがあったとしても、そしてその命に限りがあるとしても、新しい未来を作り出すことのできる人間の素晴らしさとそこに向けられたヴェンダースの暖かく優しいまなざし

安二郎、フランソワ、アンドレイという、かつての天使達に捧げられた本作

映画の神様から地上に遣わされる彼らのような天使にもっと会いたくて自分は映画を見続けているのかもしれません😉

p.s.
『シティ・オブ・エンジェル』
本作のリメイク、そしてメグ・ライアンが出演しているということで期待を持って観にいきましたが…

本家と比べてしまうとその表面だけをなぞったような薄っぺらさにガッカリした記憶が😥w
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