“You'er OK? I'm not OK😥”
アンドリュー・ヘイ監督が山田太一氏の小説『異人たちの夏』をクィア作品としてリメイクすると聞き、はたしてどんな味付けになっているかが気になり鑑賞
原作既読、大林版も鑑賞していたので少々不安な部分もありましたが…
案の定、“原作”というより“原案”といったほうが良いくらい大胆に脚色されていてかなり戸惑いました😅
それはまるで日本の伝統的な古民家をインバウンド向けの和室のないゲストハウスにリノベーションしたかのよう(わかりにくいw)
ファンタジーという骨組みはかろうじて残っているもののホラー色はかなり薄め
味わいも全く違う感じ
原作で特徴的だったのはその舞台と季節
昭和の下町浅草の人情に感じる味わい深い旨味
タイトルに“夏”とあるようにそのジメッとした空気感とホラー(怪談)にふさわしい季節感
本作にはそれに相当する味わいがあまり感じられず
その代わりに80年代のゲイカルチャーから生まれた曲が次々と流れ、同じ味の濃厚なソースを味わい続けているような感覚
ただ、両方の作品に共通しているのは作品に作者のパーソナルな部分が色濃く反映されていること
山田太一氏はお亡くなりになる直前に本作をご覧になったとのこと
自身の脚本の映像化にはとても厳しく、キャスティングから演出までこだわりを持たれていた彼ははたしてどう感じたのか?
おそらくお元気だった頃であれば、本作の企画と脚本を見て最映像化は断ったのではないかと…
原作と大林版に思い入れが強いがゆえにそんな思いが終始頭から離れず、俳優の演技や演出という映画作品的な部分を楽しむことができなかったというとても残念な結果に😥
『オッペンハイマー』とは違った意味で、自分は日本人なんだなぁとあらためて感じる作品でした
p.s.
エンドロールに山田氏の奥さまに対する謝辞が
おそらく彼女が最映像化の許可に尽力されたのではないかと
そこにはどのような形であれ、夫の残した作品に多くの人に触れてもらい後世に残したいという、彼と彼の作品への愛が感じられ😢
感動ポイントそこっ?w