“人の命を救うのは合法でしょ?”
…という至極当然のようなに思えることが当然でないことを描いた作品
ベラルーシ🇧🇾が行った、難民を「人間の武器」としてポーランド🇵🇱に送り込み相手国の状況を不安定化させる作戦
影でその糸を引くのはロシア🇷🇺
そんなことを描いたポーランド映画と聞けば、それに関するプロパガンダ映画かと思いきや、全く違いました
そこにはあらゆる視点から、かつ非常にフラットに、ベラルーシの行為にもまして非人道的なポーランドの対応を含めたそれらを取り巻く状況が、まるでドキュメンタリーのように描かれています
案の定、ポーランド政権はこの作品を激しく非難しネガティブキャンペーンを張ったにもかかわらず、独立系の映画館は上映を敢行
世界からの評価だけでなくポーランド国内でも異例の大ヒットとなったとのこと
原題は『Green Border(緑の国境)』
オープニングで緑の美しい森が映された後、モノクロの本編で物語は進みます
そのコントラストの効いたとても美しいモノクロ映像で繰り広げられるお話は目を背けたくなるような、終始緊張感を強いるとてもつらいもの😢
そんな中、とても印象的だったのは人道支援団体のメンバーが初めて会った難民に対してまず自分の名前を名乗り、相手の名前を聞くこと
そこからは、国や宗教など関係ない、一人の人間同士としてのコミュニケーションから全てが始まるという至極当たり前なことをあらためて感じ…
本作の中では人道支援メンバー以外にも、そんな個人としての思いからの様々な行動が描かれています
エピローグはポーランドがウクライナ🇺🇦難民をとても人道的に見える対応で受け入れるシーン
国や政治という個人を超えた世界での利害関係から生まれるそんな矛盾
決して娯楽作品としてのカタルシスを感じさせるような作品ではない本作
ただ、今描かなければいけないことを勇気を持って描くことも映画の存在意義であると同時に、世の中を変えていく力が映画にはあると一人の映画ファンとして信じたいと思います
本来の意味での“Borderless”のために
p.s.
法とは武器でも身を守る盾でもなく、そこに自然に湧く泉のようなもの
大切なのはそれをどこに流すか
最近ハマっている朝ドラで、まさに今日聞いたセリフがしみじみと心に沁みました