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サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)の1234のレビュー・感想・評価

5.0
とんでもない凄まじい映画に出会ってしまった。

圧倒的過ぎる。

高崎のミニシアター(シネマテークたかさき)で、たまたま時間潰しに映画に入ったら、本日初日でした。

こんなフィルムが2019年まで公になっていなかったなんて…

1969年ウッドストックで音楽フェスがありましたが、同じときに160km離れた黒人ハーレムで、観客5万人の黒人による音楽フェスが行われていたそうで、その記録フィルムです。

もう、信じられません。
BBキングとスティービーワンダーがオープニングの前座扱いで、ゴスペルの女王のマヘリアジャクソンの魂爆発ソングの時点で、まだフェス開始から15分しか経ってないんですよ…
(この時点で泣いてました。音楽フィルムで泣いたのは、初めてです)

どのアーティストも私たちがいま市販のディスクで聞いているライブ版の、おそらく200%で歌っています。

それには当時の黒人の置かれていた状況や社会情勢が、モロに反映していると、あまりにも説得力のある演奏が教えてくれます。

1963年 ケネディ、ベトナムから2年以内に海兵撤退を指示
1963年 ケネディ暗殺
1964年 ベトナム戦火拡大(トンキン湾事件)
〜のちに米国のでっち上げと判明。詳しくは映画『ペンタゴンペーパー』を〜
1965年 マルコムX暗殺
1968年 キング牧師 暗殺
1968年 ロバートケネディ 暗殺

何を信じればいいかわからない、こんな中で、ふだんより差別を受けていた黒人の人たちが置かれた状況は、想像に余りあるでしょう。

まさに、爆発としか形容のしようがない映画です。

じつはこのフェスと同じ日、アポロが月面に降りていました。

会場でインタビュー受ける人々は、「月面着陸より、このフェスの方が大事だ」と。
まったくそう思います。

まこといつの時代も人間って二種類に分かれると思います。

1.一歩一歩着実に足を進めながら、現実に届き得る「月面」を踏むことに命をかける人

2.いま自分が立っている場所から動かないが、2万年後の自分がそこの自分を振り返ってみても、同じことをするだろうことを、命をかけて探す人。

いったいどちらの人が、より遠くに行けるでしょうか。

この映画を観ると、わたしには後者の人の方が、月よりも遠くに達すると思えてなりません。

最近気がついたのですが、前者と後者の違いは、自分の(自分を含めた世界の?)聞きたくても聞こえない声を、自分で聞こうとするか、誰かから聞かせてもらうかの違いじゃないかな、と。

映画館で観ることをおすすめします。高崎でやっています。
初めて行きましたが、すごく良い映画館でした。大変な時期だろうけども、永く続いて欲しい映画館です。
応援料金を、払っておいて良かった。

大事なことなので、もう一度繰り返します。

大音量で、必ず映画館で観てください。
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