ささきたかひろ

シン・仮面ライダーのささきたかひろのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.5
東映に脚本をチェックする部門は無いのだろうか?

それとも東映が現場介入できないような契約だったのだろうか?明らかに脚本、設定に瑕疵があるではないか。。。

説明すべきところは大胆に省略。説明しなくていいのにセリフで全部説明。故にチグハグ。

スタッフの誰一人としてこの点に気が付かなかったのか、それとも誰も監督に進言できなかったのか、そもそも演出能力がないのか。これほどバランスの悪い映画も久しぶりに見た。もっと良くないのが説明を端折った設定を都合よく使っている部分。

変身するのもプラーナ、死ぬのもプラーナ。プラーナってヨガの呼吸法?理解できない割には大活躍するし、物語の段を変えて行く役割を果たしてたりするから非常に厄介。

また一文字隼人をバディとして登場させるのなら、本郷猛と同等以上の「オーグ化された」エピソードが必要なはずなのに急に現れ、急に仲間になる。(プラーナで洗脳を解いたのかな?)ショッカー無能すぎませんかね?

説明したくないという意図やこだわりを「映画」の中でいかに展開するか、説明しなければならない部分をいかにスマートに表現するか。(「悪い奴ほど良く眠る」の冒頭部分やそれを発展させた「ゴッドファーザー」のように)それらは一般的に「演出」と呼ばれ、映画監督の重要な仕事のはずだ。

とにかく映像的な鋭角さやボディスーツなどに見られる造形要素の精緻さと本来軸となるストーリーや設定、演技演出のバランスが悪く、6パック腹筋の8頭身なのに骨粗鬆症といった趣の珍妙な仕上がりとなっている。

意外に思われるかもしれないが、クレジット上庵野秀明が「監督」した映画版のエヴァは劇場版26話「まごころを、君に」のみだ。その他は「総監督」というクレジットである。「監督」と「総監督」この2つにどれだけの権限や役割の差があったのか私に知る術はないが、キャリアに比べて極端に少ない単独監督作を見るに前述のクレジットのどちらが向いているかは明らかである。

誰かが作っている物に横槍を入れはするが、結果的にクオリティーを上げることができる才能と、自らが主体となり作品を仕上げる才能は別物なのだなと確信できたのが唯一の収穫か。
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