メガコータス

秘密の森の、その向こうのメガコータスのネタバレレビュー・内容・結末

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2回視聴。

演出や台詞がいちいち素敵だった。
冒頭のシーンで、後部座席のネリーが運転するマリオンにお菓子とジュースをあげるシーンにいきなりうっとりしちゃった。
ファッションやインテリアも好きだった。
特にサウンドに関してはセリーヌ・シアマらしい"生々しい"感じがしてこれこれ〜ってなった。

内容は、祖母/母の喪失をきっかけにお互いを知りなおす2人の親娘の物語。
「ママが子供の頃はね」といったような語りがファンタジーとして描かれているといったような印象を受けた。

ただ面白かったのは、本作はその語りを語りとしてではなく、2人の少女の出会いという体験として描いていること。
ネリーとマリオンの邂逅は、2人にとって双方向的に作用する体験であり、ネリーがマリオンを理解するとき、マリオンもネリーを理解する。
ある親娘が母/娘という関係から離床し、文字通り"同じ目線"で語り合う物語。

そして本作のキーワードである"秘密"。
邦題にも"秘密"と出てくるが、印象的だったのは作中に登場する台詞

「秘密というのは隠すことじゃない
言う相手がいないだけ」

ネリーの家族は「みんなそれぞれ何か考えてる感じ」。
みんながそれぞれ秘密をもってる。
それはお互いが親子であり夫婦であり家族だから。隠しているのではなくて、お互いが言う相手じゃないというだけ。
親子でいること、夫婦でいること、そして家族でいることの難しさがうまく表現されてて見事。好きな台詞。

あと個人的に考えたのは、
本作の主人公はネリーなのだが、マリオンを主人公として描くとまた違った作品になるのだろうか?とか、考えた。まあでも、"幼い母親"を写すにはマリオン以外の視点が必要だろうし、構成的に難しそうか。
あと2回目改めて見返すと、冒頭、亡くなった母の病室でネリーに背を向けて窓を見つめるマリオンの後ろ姿の意味を理解できた気がした。