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サンチャゴに雨が降るのmhのレビュー・感想・評価

サンチャゴに雨が降る(1975年製作の映画)
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チリ・クーデター(1973年9月11日)の直前からスタートして、パブロ・ネルーダの葬儀までをドキュメンタリータッチで追っかける。
ざっくりとでもチリ・クーデターを知っていれば楽しめるけど、まるでわかんなかったら、ちょっともったいない。制作側も/観客側もその後どうなるかわかった上で作られている/鑑賞するタイプの映画。
共産主義者への弾圧とアメリカの横暴がメインテーマで、そのあたりは「ミッシング(1982年)」とも共通している。ジャン=ルイ・トランティニャンが出演しているけど、彼がでてるのは同じコスタガブラス監督作でも「Z」のほうなので、軽い混乱がある。
スタジアムで歌手がリンチにあうくだりは、史実にそっているとのこと。ビクトル・ハラという歌手で、いまはそのスタジアムの名前になっているのだそうだ。
活動家のお父さんが、妻に別れを告げるシーンにやられた。当然の「同志」呼びは泣くって。
撮影されたのがブルガリアというのも特筆すべき点だと思う。共産主義国じゃないと醸せない雰囲気がでているように思った。また、「ぜんぶ、フィデルのせい(2006年)」でやってたみたいに、ヨーロッパにいる共産主義者たちが南米の共産主義活動をバックアップしていたことが、この映画を制作したにはフランスだったあたりにも現れている。
VHS発売当時のタイトルは「特攻要塞都市」らしいけど、どの映画の影響でそんな邦題になったのか気になるところ。探したけど見つからないので、結局、YouTubeで見てしまった。どういうわけか、日本語字幕版がUPされたままになっているのだった。良くないことかもしれないけど、正直ありがたい。
「チリの闘い」の大学生視点バージョンみたいな楽しみ方もできた。
面白かった。
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