そこまで期待もしていなかったけれど、それすら下回る期待外れ感。
予告通りの阿鼻叫喚スプラッタを期待するなら、テンポも悪く、グロ描写も控えめかつ少なめ。目玉もスクリューも芝刈り機も、既に色んな作品で使い古された描写の二番煎じで新鮮味も薄い。
スプラッタ要素としては、予告で見せているシーンがほぼ全てなので、その点では大変退屈な作品。
序盤から、なかなかドライブかからない静かな立ち上がり。ようやく始まったかと思えば、無駄に引き伸ばしたような冗長なシーンの合間をグロで繋ぐ、みたいな展開の繰り返し。
ただ、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション 2021」に選ばれた理由として、物語の裏に隠されたスリラー要素があるのだろうとは思う。
最後まで明かされない、まるで子供の妄想のような「謎の鍵」に、悪役としてわかり易すぎるネオナチと、犬も絡めた種族原理主義的な価値観。現実的に、これだけのキルスキルを13歳の子供が持ち得るのか?という疑問。
何より、序盤に印象的に映される、孤独少女ベッキーと刑務所のネオナチのシンクロシーン。
つまり「そういうことだった」というオチを潜ませている。
ラストシーンで語られるように、彼女は鉛筆で誰かを刺した。それだけが、真実?という点で、少しのカタルシスはあった。
…だとしても。
どうせなら、もっとテンポよく、少女による大殺略活劇をシンプルに観せて欲しかったところ。
スリラー的な「裏」を仕込んだところで、「表」の魅力が薄すぎた。