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森のムラブリのあんずのレビュー・感想・評価

森のムラブリ(2019年製作の映画)
3.8
読売の批評を読んで気になっていたので。批評を読んだ時の胸の高鳴りほどには、映画では心が動かなくて残念。森の民はダラダラと過ごしていて、淡々とした映像が続くため眠たくなってしまった~。寝てしまって、いつにも増して申し訳ない気持ちになったのは、終映後に舞台挨拶があったからかな。

カメラがこの民族に入るのは初めてで、しかも、お互いに嫌いあっていた違う地に住む同じ民俗が日本人の言語学者の仲介で対面するという歴史的な瞬間を目の当たりにしたのに、そこも劇映画のように感動のご対面という風にはならず、友好的ではあったが淡々としているように見え、彼らの胸の内までは良く分からなかった。

狩猟民族は農耕民族のようにせっせと働いて貯蓄するということがなく、その日の食べ物を採って食べ、あとはのんびり。その地に食べ物がなくなれば、違う場所へ移動する。なんか、ものすごく原始的な暮らしだけれど、SDGsやらミニマリストという観点から考えると究極の最先端で、こんな暮らしを地球上の全ての人がしたら、地球は長生きするし、異常気象も起きなくなるし、絶滅危惧種も減り生態系は守られ、良く分からないウィルスが蔓延することもほとんどなくなるかもしれない。もちろん、今さらその生活には戻れないけれど、少しでも見習えるところは真似たい。上映後、言語学者の伊藤さんは、ふんどしに雪駄スタイルで自分の暮らしをムラブリ族に近付けているとおっしゃっていた。ビックリ。

同じような言語を話し、文化的に近い民族が戦争をしている今、対話によって誤解を解き、共に歩み寄ろうとするムラブリ族の映画は非常にタイムリーだと金子監督はおっしゃっていて、共感した。やっぱり、強風の中、観に行って良かった。
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