あんず

無名のあんずのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
3.7
この頃の上海の文化や雰囲気が好き、トニー・レオンも好きだし、と気軽な気持ちで観に行ったら、時間軸は行ったり来たりするし、複雑で難しかった。さすがGW、普段は満員に滅多にならない映画館が満員+パイプ椅子まで使われ、中国語を話すお客さんも結構いて、いつもとは違う雰囲気の中で鑑賞した。

全集中で観たけれど、私の不勉強と日本語の聞き取りにくさ(中国人だけでなく日本人も)が内容を更に分かりにくくした。あと、中国語で話した人に対して日本語で答えるのも(その逆も)不自然だった。スパイ同士ではあることなのか?それから、そのシーンは本当に必要なの?と思う日本軍の残虐行為を見せつけるシーンなどもあり、辛かった。

それでも上海の街並みのセットや美術、衣装、ヘアメイクらは完璧で、スクリーンで観て良かったと思った。ケーキに至るまでスタイリッシュ。トニー・レオンが我々に背中を向けている絵だけで、うっとりするほど美しかった。初めて見るワン・イーボーも、役柄に合っていて格好良かった。特に血を浴びながら煙草を吸うシーンはアート作品のよう。ちなみに連れは、つまらなすぎて席を立とうかと思ったらしいが、ワン・イーボーのPVと思うとすごく良く出来ていたと言っていた。

終映後、内容が分からなすぎてパンフレットを買った(詳細が書かれているかと思って)。しかし、私でも分かったことしか書かれておらず、ひたすらスタイリッシュな写真が載っていてお洒落だった。トニー・レオンとワン・イーボーのインタビューは充実していた。思わぬ収穫は、ワン・イーボーの先輩役で若き日の渡辺謙に似ていると思っていた人が『薬の神じゃない!』で白血病患者を熱演していたエリック・ワンだと分かったこと。
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