ふみあき

ジェントルメンのふみあきのレビュー・感想・評価

ジェントルメン(2019年製作の映画)
3.7
 「snatch」「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のガイリッチー映画。上記2作品が好きなら見て損は無いだろう映画だった。上記2作品はギャングや小悪党達が織りなすサスペンス群像劇、の皮を被った、「本人たちは至って真剣なのにどうしてもマヌケに見えてしまう」というコメディタッチなクライム群像劇なのだが、本作品はそのガイリッチー節を新しい構成で見せてくれる仕上がりになっていたと思う。上記2作品は展開が二転三転、あっちへ行ったりこっちへ行ったりに登場人物が踊らされるのだが、本作はどちらかというと、真実を語っているか怪しい、いわゆる信用できない語り部によって、出口がどこかもわからない上、足元の見えない道を歩かされている感覚に陥る。恐らく上記2作品を見ていない人からすると「俺は何を観させられているんだ?これはどこへ向かっているんだ?」と思ってしまうかもしれない。これは、上記2作品は視聴者が画面の外から物語を追っているのに対し、本作が無理やり画面の中で物語を追わされているからではなかろうか、そう考えると後半まで語りベースという構成も、簡素なストーリー(決して冗長という意味ではない)も、オチの呆気なさも納得がいく。
 正直に言うと、個人的には上記2作品が好みであるし、それらを未視聴なのであれば本作はあまりオススメしたくはないというのが所感ではあるが、若干新しくもあるガイリッチーの原点回帰的な映画という点ではかなり楽しめた映画だった。
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